2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本の伝統的な響きを軸とする多媒体表象芸術の構造およびその創造過程の研究-作品の創作を通して
Project/Area Number |
15604011
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
猿谷 紀郎 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (00324880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 篤子 洗足学園音楽大学, 音楽学部, 教授 (00101262)
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Keywords | 表象芸術 / 舞台芸術 / 儀礼 / 民俗芸能 / 日本 / 伝承 / 伝統 / 多媒体芸術 |
Research Abstract |
1)表象芸術の構想および創造:下記2)の成果に基づき、本研究代表者が薬師寺の仏像群の造形美から得た感銘からフルート・チェロと二十絃箏による「琴座の碧霞」を創作、第25回草津夏期国際アカデミー&フェスティヴァルの「猿谷紀郎作品個展」にて初演した。また『三井の晩鐘』(梅原猛原作、石川耕士脚本)の舞台芸術化に関わり、平成16年10月24日に大阪イシハラホールにて初演した。本作品は義太夫節と三味線、および女声のヴォカリーゼとオーケストラ楽器の、日本と西洋という対照的な音楽素材によるこれまでにないスタイルのものである。本研究代表者は『三井の晩鐘』という日本の伝統的な題材の表現に際して、義太夫節と三味線の響きを西洋の音素材がいかに包摂できるかという課題を克服すべく創作を行った。なお、本作品は平成16年度佐治敬三賞を受賞し、「チャレンジ精神に満ちた企画でかつ公演成果の水準の高いすぐれた公演」という本賞の趣旨に相応しく、「いわゆるオペラでもないし、単なる和洋混淆でもない、全くユニークな舞台」を創出したと評価された。 2)現代仏教儀礼の創出と分析:本研究代表者が分担者となっている基盤研究「薬師寺最勝会の創造過程の研究-儀礼・音楽における伝承・創造の視座から」(平成13-15年度)の「創造」面について、すでに平成15年11月に東京紀尾井ホールにて新たな舞台芸術として上演したが、同16年4月に大阪フェスティバルホールにて上演し、その紀尾井ホールとは全く異なる大空間を生かした表現を試みた。またこれらの2空間での上演の成果を同年10月23日の東洋音楽学会第55回大会のシンポジウム「東アジア音楽の伝統と現代」にて「薬師寺最勝会の復興-総合芸術としての儀礼と音楽表現」として発表した。
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