2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本の伝統的な響きを軸とする多媒体表象芸術の構造およびその創造過程の研究
Project/Area Number |
15604011
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
猿谷 紀郎 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (00324880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 篤子 洗足学園音楽大学, 音楽学部, 教授 (00101262)
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Keywords | 表象芸術 / 舞台芸術 / 儀礼 / 民俗芸能 / 日本 / 伝承 / 伝統 / 多媒体芸術 |
Research Abstract |
1.研究の補遺と応用 本研究は日本の仏教儀礼や能等の伝統的芸術、および現代における日本の伝統的な音素材を用いた作品という、両様の表象芸術の構造とその中での音楽の役割を解析し、さらにその原理を援用した新たな多媒体表象芸術の可能性を探るものである。最終年度の本年度は、初年度の研究分担者藤田隆則より能における舞と囃子の関わりについての知見を得、日本の伝統的芸術における形式と内容についての本研究の推論を補強することができた。また研究分担者澤田篤子は、研究代表者猿谷紀郎がこれまで行ってきた多媒体表象芸術のメカニズムを大学教育に応用し、また芸術音楽と民俗音楽という日本音楽内の異分野の接近を試み、言語と能・民謡および洋楽による舞台芸術作品を企画した。なお研究代表者は詩人の谷川俊太郎とのコラボレーションにより「Where is HE? 夢 まじらひ」を創作した。 2.研究のとりまとめと今後の展開 研究のとりまとめに際して、「日本の伝統的な響き」を第三者の目からより明確に浮き彫りにするため、能など日本の伝統的芸術にも造詣の深いドナルド・キーン氏に面談し、本研究での課題(日本音楽の他律性、視覚的要素の音楽聴取への影響、日本の伝統的音素材・題材に対する現代作曲家の果たす役割、今日の日本音楽の伝承者における価値観の変容)についての氏の見解を得た。 なお、初年度に行った薬師寺最勝会の復元及び舞台芸術化の実績から、再建予定の奈良平城京大極殿にて御斎会の復元・現代化が計画されている。御斎会は最勝会と同じく金光明最勝王経を所依の経典とする舞楽付きの勅会であり、本研究報告書の中で最勝会との比較、および復元・現代化に向けて可変性・不変性を探る。
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