2004 Fiscal Year Annual Research Report
法整備支援を通じた制度改革による国家のガバナンス向上に関する開発法学的研究
Project/Area Number |
15605001
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Research Institution | KEIO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松尾 弘 慶應義塾大学, 法科大学院, 教授 (50229431)
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Keywords | 法整備支援 / 良い統治 / 法の支配 / 非形式的制度 / メタ・ルール |
Research Abstract |
1.日本の法整備支援の形態・方法・内容の特色を分析し、(1)法案作成間接支援型、(2)法案作成直接支援型、(3)法律問題コンサルティング型に分類し、それぞれの成果と問題点を整理した。ついで、様々な形態の法整備支援によって実現された形式的な法制度改革、それによって生じたガバナンス指標の変化を分析し、各種法整備支援手法の長所・短所を比較した。現時点の中間評価として、直接的支援は、目に見える成果に通じやすいが、政治的リアクションを引き起こしやすいのに対し、間接的な支援は、目に見える成果の評価は困難であるが、法制度改革に向けた国際的協力枠組の構築にとっては有効な手段となる可能性を示している。 2.多様な形態で行われている法整備支援の共通目標である「良い統治」(good governance)、その一内容としての「法の支配」(the rule of law)は、各国の非形式的制度を十分顧慮し、そうした既存の制度枠組を用いながら、より普遍的な権利概念と基本原則に則った新しい形式的制度を取り込む形で、漸進的かつバランスのとれた改革政策を通じてのみ実現されうる。とくに、市場化のための法改革と民主化のための法改革との両立を支援側が最初から求め、支援の条件とすることには、慎重になるべきである。ミャンマーへの法整備支援に対する先進諸国の取組方法の相違は、この見方の妥当性を検証するための有益な材料となる。 3.法整備支援が被支援国のガバナンス改革において、積極的成果を上げるためには、法制度改革を通じた良い統治の構築に向けた国際協力の意義にっき、認識を共有し、相互の尊重と信頼関係を構築したうえで、間接的なインフラ=《ルールを作るためのルール》(メタ・ルール)作りから着手する必要がある。
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Research Products
(4 results)