2004 Fiscal Year Annual Research Report
現代中国の地域開発における地方政府のガバナンス効果
Project/Area Number |
15605006
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
菊池 道樹 法政大学, 経済学部, 教授 (90143718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
貫 芳祐 法政大学, 経済学部, 教授 (70207447)
胥 鵬 法政大学, 経済学部, 教授 (60247111)
鈴木 豊 法政大学, 経済学部, 教授 (20277693)
趙 宏偉 法政大学, キャリアデザイン学部, 教授 (40265773)
呉 暁林 法政大学, 工学部, 助教授 (50366829)
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Keywords | ガバナンス / 地域開発 / 民営化 / 地方政府 / 市場原理 / 浙江省 / 上海市 / 地域経済圏 |
Research Abstract |
本年度、現地調査を実施したのは、経済の民営化が最も進んでいる浙江省、ならびに中国きっての経済先進地域である上海市であった。これらの地域においては、1990年末から経済の民営化が急速度で進むなか、各タイプの企業の組織形態、ならびにそれら地元企業に対する地方政府のガバナンスのあり方は大きく変化しつつある事実を確認することができた。 市場原理が十分に浸透していなかった時期においては、法律やルールが定着せず、政府の管理職の地位にある者がその権威や人望によって、経済行為に関わる紛争、混乱を解決し、契約、取引を円滑に進めることが不可欠あった。彼らは雇用機会を確保し、所得水準の向上を願う住民の期待に応えるために、公有企業(地元の国有企業も含む)の収益の最大化を目指し、場合によっては、自らが企業の経営責任者となった。私有企業にとっても生産、流通面で事業を進めるうえでの制度的保証を、地元の政府に依存する他なかった。つまり、地方政府の管理者層は選挙による審判からは免れているものの、高収益、高分配を期待する住民に実質上は監視されていた。政府、企業関係者間の癒着、汚職などが見られたことも否定できないものの、ガバナンスを通じた緊張関係があった地域においてこそ開発が成功した。 市場原理が拡大し、企業の民営化が進み、ビジネス関連の制度やルールが整うのに伴い、地域開発における主役は地方政府から企業へ移行しつつある。その企業の発展のためには、組織内部のガバナンスがより重要な要素となってきた。しかし、省、市・県、町村を単位とする地域経済圏の間の競争も激化するなかで、地域内産業構造の調整を図る担い手として地方政府の新たな役割が注目されるようになった。そうした地方政府に対する住民の監視のあり方もまた、地域発展のための鍵となってきた。
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