Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
合田 正毅 新潟大学, 工学部, 教授 (60018835)
西尾 成子 日本大学, 理工学部, 教授 (60059285)
兵頭 俊夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90012484)
渡邉 靖志 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40126199)
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Research Abstract |
この調査研究では,物理・応用物理関連学科の学部出身者のキャリアや,物理教育の何がそのキャリアに活かされているかについて卒業生に対するアンケート調査を行った.その目的は,物理教育の効果を評価し,物理・応用物理関連学科の教育改善のための指針を提供することにある. 日本学術会議物理教育小委員会委員の全面的な協力を得て,平成15年度の予備調査に引き続き平成16年度に本調査を,卒業生へのアンケート用紙の郵送による送付と回収により実施した.予備調査とあわせると全国の国公私立39大学の47学科/コースの参加を得て,それぞれの学部を平成10年,及び平成元年をはさんで前後1年,に卒業した卒業生達を対象にして,計775名からの回答を得た.これは,物理・応用物理関連学科出身者に対する進路および学部教育評価に関する我が国で始めての組織的な調査と考えられる. 調査結果の概要は以下に要約できる.回答者の現在の業種は,研究および初中等教育あわせて20.3%に対して,製造業が37.8%,情報・通信14.8%を中心に,民間産業が約70%を占めた.これは,物理・応用物理関連学科が,産業・技術分野への重要な人材供給源になっていることを裏付けている.個別の学科ごとに見ても,研究志向の理学部物理学科でも,研究と初中等教育あわせて約30〜40%で,出身者の職種分布は学科間で大きな差異がなかった. 学部時代に学んで役に立っている物理系科目についての設問(複数回答)では,卒業研究(51.5%)についで実験(46.7%)が多い.また,学部時代に物理を学んだことがどのような点で役にたっているかと言う設問(複数回答)では,様々な現象や課題について本質的な要素を抽出しモデル化することができること(49.8%),論理的に考えプレゼンテーションできること(48.0%)などの回答が多かった.しかしこれらについての回答率は学科間で大きく異なり,教育方針や教育効果を鋭敏に反映しているものと思われる.詳細な分析結果は,関連の学会誌等で今後公開していく.
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