2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15607003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 伸泰 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (70211745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯川 諭 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (20292899)
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Keywords | 非平衡緩和法 / シミュレーション / イジング模型 / アルダー転移 / KT転移 / ラシュブルッケ不等式 / 地球シミュレータ / 非平衡仕事 |
Research Abstract |
統計物理学・物性理論の主要な目標の1つは、原子・分子から出発して物質の相や相転移・臨界現象を理論的に記述し予測する事であり、計算機シミュレーションがそのためには不可欠であることは広く認識されている。このような目的の計算機シミュレーションの、最も有効な解析方法の1つが、1990年代に本研究代表者らにより提案された「非平衡緩和法」である。本研究の目的は、これまでのこうした研究に基づき非平衡緩和法のさらなる発展と計算手法としての整備を進め、必ずしも非平衡緩和過程を専門とはしない研究者や開発者の信頼できる道具として普及させるにあたっての課題を明らかとし、さらに非平衡緩和法に基づく物性自動解析ソフトウエア開発の準備を行うことである。 今年度の研究実績は以下のとおりである: ・AMD OPTERONプロセッサに基づいた並列計算機環境を整備し、レナード・ジョーンズ粒子系などのシミュレーションプログラムを整備した。 ・現在世界最高性能の計算機である地球シミュレータ用の、イジング模型および粒子系のシミュレーションのプログラムを開発した。イジンク模型用のis3desは、地球シミュレータの512ノードを使って6648x6648x6656の大きさの系(約3000億自由度系)を、毎秒19兆6千億自由度格子する性能を記録した。これは力学自由度の処理速度の世界記録であろう。 ・このis3desを使い3次元イジンク模型の臨界点の評価を、逆温度で0.2216547(5)と改良した。 ・テラフロップス級のスーパーコンピュータによる非平衡緩和シミュレーションの準備とデータ解析とが円滑に進む環境を整えるために、非平衡緩和法に基づく汎用解析ソフトウエア(略称NERANALYZER)の開発に着手した。そして、Windows XP上で動作する強磁性転移用の解析プログラムを開発した。 ・非平衡緩和法によるKT転移の研究を行い、揺らぎの非平衡緩和過程を使った臨界指数の評価に成功した。特に剛体円盤系の融解転移に伴う2回のKT転移の際の臨界指数を決定した。 ・ラシュブルッケ不等式を非平衡緩和関数に拡張した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Ozeki, N.Ito: "Nonequilibrium relaxation analysis of fully frustrated XY models in two dimensions"Phys.Rev.B. 68巻. 054414 (2003)
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[Publications] Y.Ozeki, N.Ito: "Dynamical Rushbrooke's inequality for nonequilibrium relaxation process"J.Phys.A. 36巻. 5157 (2003)
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[Publications] H.Watanabe, S.Yukawa, Y.Ozaki, N.Ito: "Critical exponents of isotropic-hexatic phase transition in the hard-disk system"Phys.Rev.E. (印刷中). (2004)