2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15607003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 伸泰 東京大学, 大学院・ 工学系研究科, 助教授 (70211745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯川 諭 東京大学, 大学院・ 工学系研究科, 助手 (20292899)
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Keywords | 非平衡緩和法 / アボガドロチャレンジ / 京速計算機 / 反応系 / 輸送現象 / 非平衡 |
Research Abstract |
統計物理学・物性理論の主要な目標の1つは、原子・分子から出発して物質の相や相転移・臨界現象を理論的に記述し予測する事であり、計算機シミュレーションがそのためには不可欠であることは広く認識されている。このような目的の計算機シミュレーションの、最も有効な解析方法の1つが、1990年代に本研究代表者らにより提案された「非平衡緩和法」である。物性の基本的な問題を、非平衡緩和法を中心とした計算統計物理学的研究により解決することを目指した研究を遂行した。今年度の主要な研究成果は以下のとおりである: ・非平衡緩和法を非平衡状態での系の挙動の統計力学的な性質を解析するための手法として拡張を試みた。 ・上項の基礎として、非平衡状態の統計力学的なシミュレーションモデルを確立し、非平衡現象、特に輸送現象の解析を進めた。 ・京速計算機の学術応用上の最大の意義がアボガドロ数スケールの計算を実現することであることを提唱し、統計力学的なシミュレーションモデルによりナノ系とマクロ系とをつなぐという今世紀前半の統計物理学研究上の作業仮説を「アボガドロチャレンジ」の名とともに提案した。 ・非平衡反応、特に生命反応系で熱平衡状態とは全く異なる特性を持つ状態が実現することを示した。あわせて生命現象の記述と特徴付けに有用と考えられる簡便な統計物理学的モデルを提唱した。
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Research Products
(2 results)