2003 Fiscal Year Annual Research Report
乱流のウルトラ・シミュレーション結果の公開プラットホームの開発
Project/Area Number |
15607011
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石原 卓 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (10262495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 恭 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (30335070)
石井 克哉 名古屋大学, 情報連携基盤センター, 教授 (60134441)
金田 行雄 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10107691)
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Keywords | 一様等方性乱流 / 大規模データ / 高レイノルズ数 / 直接数値計算(DNS) / フーリエ・スペクトル法 / 非圧縮性流体 |
Research Abstract |
乱流の直接数値シミュレーション(DNS)は、実験における測定誤差等とは無縁の正確で詳細な、乱流研究における規範データを提供する。ただし、DNSにより微細な渦構造にいたる小スケールまで正しくシミュレートし、かつ、高レイノルズ数の乱流場を実現することは、従来の計算機では不可能であった。しかし、近年のスーパーコンピュータの目覚しい発達により従来とはけた違いに巨大な自由度を高速に扱うことが可能となってきた。とくに地球シミュレータ(ES)は演算速度40テラフロップス、主記憶10テラバイトを有する現在世界最速のスーパーコンピュータであり、我々のグループはES上で最大格子点数4096の3乗(ウルトラ・スケール)の一様等方性乱流DNSをフーリエ・スペクトル法により実現し、乱流の室内実験で得られる最大レイノルズ数に匹敵する乱流場の統計的準定常状態を得ることに成功した。 上述の乱流のウルトラDNSのデータは世界的にも注目されており、データの公開が望まれている。本研究では、(1)共有すべき乱流データの特性を明示し、(2)巨大データを有効に共有する方法を開発することを目的としている。(1)に関して、本年度は、乱流場を特徴つける基礎的な統計量(縦速度微分のPDFや高次モーメント、エネルギースペクトル、圧力のスペクトル、速度構造関数等)を過去及び最新の乱流実験データとの比較し、その結果を公開した。そこでは、乱流場の1点統計量のレイノルズ依存性が実験データとよく一致することのほか、圧力のスペクトルとそのレイノルズ数依存性が最新の実験データとよく一致することを示した。(2)に関しては、データのダウンロード先の計算機環境を複数(ベクトル並列、スカラー並列など)想定して、データ解析用3次元離散高速フーリエ変換をいくつか用意し、結果の検証とデータ処理に必要な時間の測定を行なった。また、遠隔地(例えば名古屋大学と東北大学)間のデータ転送に必要な時間の測定やデータのあるハードディスクを遠隔地からマウントすることなどを試みた。その結果、スーパーSINET上のGrid技術を有効に活用し、各大学において公開しているポートをうまく利用すれば、有効にデータ共有できる感触を得ることができた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Y.Tsuji, T.Ishihara: "Similarity scaling of pressure fluctuation in turbulence"Phys.Rev.E. 68. 02630968-1-02630968-5 (2003)
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[Publications] T.Ishihara, Y.Kaneda, M.Yokokawa, K.Itakura, A.Uno: "Spectra of energy dissipation, enstrophy and pressure by high-resolution direct numerical simulations of turbulence in a periodic box"J.Phys.Soc.Jpn.. 72(5). L983-L986 (2003)
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[Publications] K.Yoshida, T.Ishihara, Y.Kaneda: "Anisotropic spectrum of homogeneous turbulent shear flow in a lagrangian renormalized approximation"Phys.Fluids. 15(8). 2385-2397 (2003)
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[Publications] 芳松克則, 石原卓, 金田行雄, 中井聡, 西田秀利, 里深信行: "3次元一様等方性乱流の直接数値シミュレーションにおけるスペクトル法と高次精度差分法との比較"日本機械学会論文集(B編). 69(679). 541-546 (2003)
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[Publications] 金田行雄, 石原卓: "大規模DNSによる乱流物理現象の解明"日本流体力学会数値流体力学部門Web会誌. 11(2). 22-30 (2003)