2004 Fiscal Year Annual Research Report
アモルファス物質の特異なレオロジー・変形機構に対する理論的研究
Project/Area Number |
15607012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小貫 明 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90112284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 量一 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10263401)
北村 光 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60335297)
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Keywords | 高分子動力学 / 絡み合い / ガラス転移 / せん断変形 |
Research Abstract |
実績は次のようである。 1)高分子の絡み合い点は高分子の動的性質に多大の影響をあたえる。しかし絡み合い点が直接に観測されたことはない。我々は初年度中に高分子専用高速分子動力学プログラムの開発をほぼ完了し、昨年度には比較的短い高分子の大規模な分子動力学シミュレーションの遂行を行った。すでにその成果として、ガラス化点での高分子の非平衡動力学を調べた。平成16年にはデータの定量性を改善するため、さらに長い鎖高分子系の分子動力学シミュレーションを実行し、シミュレーションで得られたレオロジーデータの解析がなされた。具体的にはせん断下での絡み合い鎖の運動の様子をアニメーション化することによって、その著しい非線形レオロジーのメカニズムを理解することとなった。発表論文では大規模計算機計算により絡み合い点の直接の可視化に成功した。粒子間ポテンシャルエネルギーの長時間平均や絡み合い点に対する力学的な引っ張りなど数々の工夫がされている。高分子の急速なるずり変形に対する力学応答に関してもいくつかの予言や過去の実験の説明もなされた。 2)アモルファス金属などでもせん断にたいする非線形効果が重要であるが、そこでは格子欠陥が大量に発生しており力学挙動に大きな影響を与えている。代表者はそのための基礎理論を昨年度提出しているが(Phys.Rev.E68,061502)、平成16年には数値解析をさらに遂行した。とくに固体に欠陥のある場合の力学挙動を調べた。代表者はこれらの成果を基にしてIUPAP統計物理学国際会議で基調講演をした。講演内容については会議録に掲載される予定で近日中に本の一部として現れる。現在これら平成16年の成果を本論文として発表する準備をしている。
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Research Products
(2 results)