2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15639006
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
矢野 栄二 帝京大学, 医学部, 教授 (50114690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
苅田 香苗 帝京大学, 医学部, 講師 (40224711)
神山 宣彦 産業医学総合研究所, 作業環境計測部, 部長 (80133643)
車谷 典男 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (10124877)
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Keywords | 石綿 / 悪性中皮腫 / 肺癌 / 石綿肺 / 量反応関係 / 閾値 / 環境曝露 / 中国 |
Research Abstract |
発がん性を持つことが知られた石綿は工業的には極めて有用な鉱物である。そこで、種類を問わずすべての石綿を規制すべきか否か、また曝露限界値(許容濃度)をどのように定めるかについて指針を得るため、本企画調査は計画された。より具体的には、(1)石綿の種別による発がん性(肺がんと中皮腫)の差、(2)閾値が考えられる石綿肺と確率的影響と考えられている肺がんのそれぞれの曝露と影響の相互関係を明らかにするため、中国奥地にある青石綿曝露地帯と四川省石棉地区(白石綿鉱山)のそれぞれの曝露集団において、石綿の種類毎の肺がん発生と曝露濃度の調査の実施可能性調査を企画した。しかし、当初計画の調査地点である青石綿環境曝露のある雲南省大姚県が、平成15年の2度にわたる大地震で壊滅的打撃を受け、未だ調査の見通しが立たず、予定の現地訪問も不可能であった。やむなく、これまでの重慶の石綿工場で行ってきた調査結果の追跡と、今後の研究調整のため、中国四川省成都市にある四川大学を訪問し打合せを行った。現地の映像等の資料により検討した結果、代替の調査地として四川省塩源県が候補になりうる可能性が考えられた。加えて従来からの調査対象である重慶石綿工場の追跡観察データを入手し、環境測定データとの比較を行った。また悪性中皮腫症例について、その詳細な病歴を入手すると共に、日本での肺内繊維種の環境中繊維種との乖離の原因について、様々な可能性を挙げ検討した。その結果、引き続き重慶工場での資料入手と、特に追加の病理標本の入手を依頼した。また重慶工場で用いられている石綿原料供給鉱山のある石棉県での調査についても更に可能性を追求することとなった。以上に加え、調査の対照となる地区の候補地をいくつか訪問し、その概況を把握することができた。
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