2003 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトウェア開発における適切なコミュニケーション誘発度を持つ空間に関する研究
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15650005
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Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
花川 典子 阪南大学, 経営情報学部, 助教授 (60351673)
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Keywords | ソフトウェア / コミュニケーション誘発度 / プログラムインスタンス / オブジェクト指向 / コミュニケーション発生時間 |
Research Abstract |
ソフトウェア開発における適切なコミュニケーション誘発度を研究するために、まずコミュニケーション発生の仕組みを研究した。コミュニケーションは基本的に作業を分担して実施する時に発生する。分担された作業間に関係がある場合、作業者らは作業分担によって切断された作業間関係についてのコミュニケーションを要求される。作業間の関係は分担される作業種類によって異なる。例えば、詳細設計とプログラミング作業間の関係は強いが分析作業とプログラミング作業間の関係は弱い。また、同一作業内分担においてもそれぞれの作業インスタンス間の関係の強さにも差がある。例えば、共有するデータをもつプログラムインスタンス間の関係は強いが、プログラム引数にてデータを受け渡しするプログラムインスタンス間の関係は弱い。強い関係をもつ作業が分担されたならば、多くのコミュニケーションが発生し、弱い関係をもつ作業が分担されたならば、少しのコミュニケーションしか発生しない。これらのコミュニケーション発生仕組みをオブジェクト指向開発のクラス図を用いて作業間関係モデル化した。オブジェクト指向開発方法論の作業関係モデルを作成することで、ソフトウェア開発における作業分担によるコミュニケーション発生の仕組みとその量を予測することができた。 更に、"適切なコミュニケーション"について研究した。コミュニケーションはグループ能力とも大きく関係すると考えられる。高品質のソフトウェアを開発できるグループは高いグループ能力を持つと考えられる。高い能力をもつグループでのコミュニケーションを分析することで"適切なコミュニケーション"を明確にした。高い能力をもつグループでは、同一話題が特定期間に集中してコミュニケーションされる現象が観察された。つまり、コミュニケーションの適切さは特定問題のコミュニケーション発生時間の分散を使って計測できる。つまり、同一話題のコミュニケーション発生時間の分散と尖度を計算することで、コミュニケーションの適切さ、さらにはグループ能力を計測できることがわかった。したがって、"適切なコミュニケーション"を定義する場合、同一話題のコミュニケーション発生時間の集中度をひとつの要素として利用可能であることがわかった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Noriko Hanakawa: "A communication process model for measuring group's ability in software development"Proceedings of the 7th World Multi-Conference on System, Cybernetics and Informatics. (発表予定).
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[Publications] Noriko Hanakawa: "Measurement of group's ability for software development"Proceedings of 2003 International Symposium on Empirical Software Engineering. Vol.2. 3-4 (2003)
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[Publications] Noriko Hanakawa: "A model based project simulator for instructing analysis and design techniques of software development"Proceedings of the 7th World Multi-Conference on System, Cybernetics and Informatics,. Vol.1. 305-310 (2003)
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[Publications] 花川典子: "ソフトウェア開発グループ能力を計測するためのコミュニケーションモデル"ソフトウェア工学の基礎X第10回ソフトウエア工学の基礎ワークショップ. 215-226 (2003)
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[Publications] 花川典子, 中井茂裕: "コミュニケーションモデルに基づくグループ能力を計測する方法の提案"情報処理学会研究報告. No.143-006. 37-44 (2003)