2003 Fiscal Year Annual Research Report
視覚の特性に基づくプリントメディアからのリアリティの創造
Project/Area Number |
15650018
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 裕之 九州大学, 芸術工学研究院, 助教授 (40243977)
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Keywords | 視覚 / 輝度コントラスト / 画像印象 / リアリティ / 色純度 / 展示 / サッカード / 印刷物 |
Research Abstract |
本研究は、画像の輝度コントラスト、色コントラストを操作することによって見えがどのように変わるかという視覚の特性の研究と、それを印刷画像に応用して、ポスター等の展示画像の「リアルさ」を高めようというものである。 今年度は、プロジェクタを用いて印刷画像に同一画像を投影し、輝度コントラストを飛躍的に高め、リアルさを演出するシステムの予備テストを行なった。この操作により、理論通り、画像のコントラストや色の純度は見た目で明らかに向上したが、時として不自然に色が濃くなる場合があった。同一画像を白黒画像にして投影すると、コントラストは高まったが、色が薄まって感じられ、かえって印象が悪くなった。この結果から、単に同一画像を投影するだけでなく、彩度の補正をしなければ、逆にリアルさが失われる可能性があることがわかった。さらに、色票を移した画像が蛍光色のように発光して見える現象もあり、必ずしも「リアル」な方向に印象が変わるわけではないことがわかった。来年度は、実際に多くのパラメータと印刷画像を用いて印象評価実験を行なう予定である。 また、輝度コントラストを高めるのとは正反対に、輝度コントラストをゼロにした画像も作成した。その結果、一面等輝度の画像では、目の動きと反対方向への動きが感じられ、目がサッカードを起こして動くたびに画像が不安定に動揺した。これは従来の視覚に関する知見にないものであり、新しい発見である。印刷画像から動きを感じさせる特殊効果としても応用が可能であろうと思われる。2004年度の視覚学会に現象報告を行なったが、来年度は実験を行なって国際学会に発表する予定である。
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