2003 Fiscal Year Annual Research Report
痛みの認知・表現・推測に関する認知科学的アプローチ
Project/Area Number |
15650045
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
子安 増生 京都大学, 教育学研究科, 教授 (70115658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠見 孝 京都大学, 教育学研究科, 助教授 (70195444)
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Keywords | 痛み / 表現 / 推測 / メタファー / テキストマイニング |
Research Abstract |
平成15年度は、痛みのメタファー表現の研究を中心に行うという計画に従い、(1)痛みに関する比喩表現を系統的に収集・分析、(2)語句が表現する痛みの身体感覚的特徴と認知的評価の評定、(3)多変量解析により身体感覚・認知的評価・比喩表現の構造解明、という手順で研究を行った。東山ら(2000)などを参考に、痛み表現を絞り込み、インターネット上の記事をデータマイニングの手法で検索し、けがや病気などに伴う痛みのメタファー表現(例:「錐で刺すような痛み」、「ハンマーで殴られたような痛み」など)を収集し、語句58、擬音・擬態語40を収集した。大学生437人を対象に、質問紙法による調査を実施した。痛み表現をあげ、痛みの部位のチェック(身体の15個所)、痛みの身体感覚特徴に関する評定、痛みの認知的評価を求めた。 結果は以下の通りである。 (1)痛みの部位と言語表現の間のクロス集計表を作成し、対応分析によって各言語表現がどの部位のどのような痛みに対して用いられやすいかを分析した。 (2)98の痛み表現間の類似性行列を作成し、MDSとクラスター分析、パスファインダー法によってそれぞれの構造を明らかにした。 (3)形容語と擬態語を統合する概念比喩の存在を明らかにした。 以上から、痛み表現を支えている身体感覚・認知的評価・比喩表現のモデルを構成した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 安藤 花恵, 子安 増生: "演劇経験の有無による味覚表情の表出ならびに演技の差異"認知科学. 11・1. 61-74 (2004)
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[Publications] 鈴木亜由美, 子安増生, 安寧: "幼児の意図理解と社会的問題解決能力の発達"発達心理学研究. 印刷中. (2004)
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[Publications] 子安増生, 龍輪飛鳥: "運動図形に対する心的状態の付与に及ぼす図形の種類と運動パターンの効果"京都大学教育学研究科紀要. 50. 1-21 (2004)
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[Publications] 子安増生, 橋本京子: "大学進学動機とポジティブな自己信念が大学生活におけるストレス対処に及ぼす影響"京都大学高等教育研究. 9. 13-22 (2003)
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[Publications] 上市秀雄, 楠見孝: "後悔の時間的変化と対処法:意思決定スタイルと行動選択の関連性"心理学研究. 74・6. 287-495 (2004)
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[Publications] 子安増生 ほか3名: "新版 教育心理学"有斐閣. 234 (2003)