2003 Fiscal Year Annual Research Report
Gene Gunを用いた生体神経細胞内への持続的薬剤投与実験系の確立
Project/Area Number |
15650057
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
橋本 浩一 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00303272)
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Keywords | 小脳 / 発達 / プルキンエ細胞 / Gene Gun |
Research Abstract |
神経系の発達過程に関与する分子機構を解明するためには、ある特定の分子機構をある程度長期にわたって実験操作することが必要であり、生きている動物でおこなうには難しい点がある。そこで我々は、Gene Gunを用いて、生きている動物の神経細胞内に機能分子を阻害、修飾する分子(カルシウムキレーター、リン酸化酵素阻害剤など)を効率的に打ち込むことが出来る実験系を確立したいと考えている。Gene Gunは本来、金、もしくはタングステンの微粒子に遺伝子ベクターを付着させ、これを高速で培養細胞などに打ち込み、細胞に遺伝子を発現させる道具である。これを遺伝子ベクターの変わりに薬剤を、培養細胞の代わりに生体細胞に投与するために使用する。 1、幼若動物における手術法の確立 我々が実験に用いている小脳皮質への適用を目的として、幼若動物に対する手術法の確立を行った。その結果、生後5日以降のマウスにおいて、試薬注入領域である小脳を露出させ、なおかつ手術後、成熟動物まで生存させることができるようになった。 2、Gene Gunによる蛍光染料の生体細胞内への投与 生体細胞内に金粒子を打ち込むことが可能かどうかを確認するために、蛍光染料のDiIを金粒子に付着させ、上記手術法により露出させた生体小脳皮質に、射出圧力を徐々に変化させて打ち込んだ。数時間の生存の後に、小脳を250μmの厚さにスライスし、蛍光顕微鏡を用いて投与状況を確認した。その結果、投与脳表面近傍にDiIで染色されたプルキンエ細胞が観察された。これによりGene Gunを用いて生体プルキンエ細胞内に薬剤投与を投与することが実験的に可能であることが確認された。
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