2004 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオーム解析による前脳交連線維の形成遺伝子の探索
Project/Area Number |
15650063
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
尾崎 宏基 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (00152471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 正明 富山医科薬科大学, 薬学部, 教授 (80132736)
荒舘 忠 富山医科薬科大学, 医学部, 教務職員 (30303233)
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Keywords | 遺伝性脳梁欠損モデルマウス / 前脳交連線維 / 二次元電気泳動 / プロテオーム解析 / ポイントミューテーション |
Research Abstract |
昨年度(平成15年度)の研究成果を基に,タンパク質の抽出条件などを更に検討した後,前脳のホモジネイトから抽出した膜タンパク質の親水性分画を対象に二次元電気泳動を実施し,同定できた約500のスポット(pH3〜10)を解析して,以下の結果を得た。 1.正常B6D2F_2マウスで明瞭な発現が認められ,Ln19ミュータントマウスでは全く発現していないスポットが,少なくとも3個存在する。 2.ミュータントマウスでは発現ししているが,正常マウスでは認められないスポットが,同じく,少なくとも3個存在する。 3.1.の3つのスポットは,等電点が幾分シフトしている点を除き,2.の3つのスポットのどれかと分子量が極めて類似している(例えば,正常マウスでのみ発現が確認された分子量約62Kのスポットの場合,その等電点は約6.3で,これとほぼ同じ分子量を持つ等電点約6.7のスポットが,ミュータントマウスで特異的に発現している)。 4.上記の結果は,脳梁線維が交連を開始する時期の前後で,変化しない。 次に,これらのスポットを切り出し,ゲル内消化を行ったサンプルについてTOF-MSを用いたプロテオーム解析を行い,以下の結果を得た。 1.正常マウスあるいはミュータントマウスでのみ発現し,分子量がほぼ同じスポットのペプチドピークのパターンは,互いに非常に類似している。 2.データ検索によれば,6種類のスポットから得られたペプチドパターンは,既知のタンパク質との対応関係があまり高くない。 こうした事実から,前脳交連線維系の形成には少なくとも3つの異なる遺伝子座が関与し,今回用いたミュータントマウスでは,これらの遺伝子座に別々のポイントミューテーションが起こり,そのために前脳交連線維系の形成不全が生じていることが強く示唆される。
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