2004 Fiscal Year Annual Research Report
新たな漫性膵炎モデル:Toll-like receptor3シグナル系を包括するゲノム解析
Project/Area Number |
15650079
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
能勢 眞人 愛媛大学, 医学部, 教授 (70030913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 美津子 愛媛大学, 医学部, 助手 (00335902)
宮崎 龍彦 愛媛大学, 医学部, 助手 (80239384)
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Keywords | Toll-like receptor 3 / poly I ; C / 慢性膵炎 / 慢性肝内胆管炎 / ゲノム病理学 / 多因子疾患 |
Research Abstract |
私達は、Toll-like receptor 3 (TLR3)に結合親和性を有するdsRNAウイルスの合成アナログであるpolyinoshinic : polycytidylic acid (poly I : C)を、自己免疫病遺伝的背景をもつMRL系マウスに投与すると、高率に慢性膵炎および原発性胆汁性肝硬変(PBC)に類似した慢性肝内胆管炎を発症することを見いだした。現在までこれらの病変を、高率にしかもTLR3を介する環境要因により発症誘導しうる実験モデルは他になく、多因子疾患をシュミレートする上で貴重であると考えられる。 今年度は種々の系統マウスを用いて、発症機序の解析を行い、以下の成果を得た。 1.慢性膵炎、慢性肝内胆管炎誘導における遺伝的背景: MRL系マウスのみならず、自己免疫病遺伝的背景をもたない近交系マウス数系統、さらにMRL/1prとC3H/HeJ-1pr/1pr(C3H/1pr)から得られたMXC RI系マウスを用いて、polyI ; C投与を行った。その結果、MRL系と同等の重篤な慢性膵炎のみを発症する系統が存在すること、また、TLR3および関連タンパク質の遺伝子多型についての解析では、少なくともTLR3の遺伝子多型と膵炎、胆管炎の発症との間には関連がないことを明らかにした。 さらに興味深いことに、MXC RI系マウスのなかには、MRL系では見られなかったpolyI ; C投与により糸球体腎炎の増悪する系統が見いだされ、現在、膵炎の責任遺伝子座と共に解析中である。 2.慢性膵炎、慢性肝内胆管炎の病理学特性の解析: 1で見いだされた膵炎好発系の系統において、poly I : C投与で誘導した慢性膵炎の免疫組織学的解析の結果、病変局所への浸潤細胞はMRL系統と同様に、CD4陽性T細胞およびMac2陽性マクロファージであることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)