2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規に分子設計した生体適合性高分子の合成とバイオメディカルインターフェイスの構築
Project/Area Number |
15650083
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 賢 北海道大学, 創成科学研究機構, 科学技術振興研究員(特任助教授) (00322850)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下村 政嗣 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (10136525)
居城 邦治 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (90221762)
|
Keywords | 生体適合性 / 血液適合性 / 表面 / 界面 / 高分子 / 自己組織化 / バイオマテリアル / 再生医療 |
Research Abstract |
Poly(2-methoxyethyl acrylate)(PMEA)表面は、細胞に対する活性化が軽微であり、表面に吸着したタンパク質の構造変化が小さいことを明らかにした。PMEA中の水の構造を調べたところ、-100℃からの昇温過程で水のコールドクリスタリゼーション(CC)に由来する発熱ピークが-40℃付近に観測された。一方、生体適合性の劣る高分子ではこのような水の存在は認められなかった。CCとして観測される中間水量が生体適合性に強く影響を及ぼしていることを見いだした。この中間水は、高分子表面の自由水と不凍水との界面に存在し、また、高い分子運動性を有するPMEA鎖に弱く束縛され、低温下でも分子運動性の高い水であることを明らかにした。また、PMEAと同様の中間水を有する生体適合性高分子:poly(tetrahydrofurfuryl acrylate)(PTHFA)、poly[2-(2-ethoxyethoxy)ethyl acrylate](PEEA)を新規合成した。PEEAおよびその類似体は下限臨界共溶温度を有することがわかった。さらに、高分子溶液を高湿度下でキャストするだけで、孔径の均一な多孔質薄膜が様々な生体適合性材料で作製できることを利用して、その多孔質薄膜の3次元構造制御に成功した。体内埋め込み型治療器具表面にもこの膜を作製することができた。多孔質薄膜表面に粘着テープを張って剥離することによって、剥離破断面(テープ側と基板側)にナノピラー構造を作製した。ナノピラー構造の前駆体となる多孔質薄膜の材質、孔径、膜厚や剥離方法を変えることで、突起の長さや太さ、間隔の制御が可能であった。これらの表面で神経系・消化器系・血管系細胞を培養したところ、正常細胞の増殖性や機能を上昇させることに成功した。一方、がん細胞の増殖性・細胞死を制御できることを見いだした。
|
Research Products
(6 results)