ナノ原料を用いた高速遠心成形法による超高強度高靭性アルミナ製長寿命人工関節の創製

2004 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 15650096
• Research Institution: Hiroshima University
• Principal Investigator: 田島 俊造 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (40136130)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 鈴木 裕之 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90284158)
• Keywords: 人工関節 / 骨頭 / 高速遠心成形法 / アルミナ / 金型 / テフロン加工 / 中子

Research Abstract

平成16年度は,原料に高純度アルミナ超微粉(純度99.99%,平均粒径0.18μm)を用いて泥しょうを作製、高速遠心成形法して人工股関節・骨頭部の成形を行い、大気炉で焼結実験を行った。
人工股関節では骨頭下部に大腿骨に接続するチタン製ステムの取付けが必要である。これに対応するため球形金型の下型に中子が必要で,前年度の実験では中子部に金型を用いて成形したところ,成形体と中子が固着して離型が困難で完全な成形体を得ることができなかった。
そこで,中子部をろう型にして成形後に溶出する方法を検討した。しかし,作業が複雑で工程が増え寸法精度が低くなる傾向であった。試行錯誤の中で,再び金型を用いてテフロンの種類などを検討中に全く新しい発想の離型方法を見出して完全な形状の成形体を得ることに成功した。
この新しい離型法を用いれば,中子部を金型にできるので寸法精度および汚染に対して特に有利である。本法により前年度に達成できなかった成形体の作製が可能になった。
この成形体は原料粉が優秀で成形密度が高く成形中の汚染が皆無で低温での大気中焼結が可能であり,現状では1523K-324〜432ksecで相対密度98〜99%の焼結体(チタン製ステム用の空間を有する直径22mmの球形状)が得られている。
本焼結体の評価は平成17年度の実験であるが,高速遠心成形法独自の緻密かつ均質で高品質の成形体を焼結しているので高硬度・高強度が予想される。なお,成形体寸法および表面精度が高いので焼結後の加工は表面処理程度にできると考えている。