2004 Fiscal Year Annual Research Report
言語遺伝子の同定および変異解析と臨床病型に関する研究
Project/Area Number |
15650121
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
熊倉 勇美 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (60309606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青柳 陽一郎 川崎医科大学, 医学部, 講師 (30286661)
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Keywords | 発達性言語障害 / 自閉症 / FOXP2 / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
発達性言語障害を有する患者におけるFOXP2遺伝子の解析を行った。非言語性IQが比較的正常に近い41症例を臨床的に分類した上で、末梢血からゲノムDNAを抽出し、全エクソン領域(17エクソン)をPCR-SSCP法で解析し、変異の有無を検討した。自閉症18例、表出性言語障害15例、受容-表出混合性障害5例、注意欠陥/多動性障害1例、学習障害(読字障害)1例、上記の何れにも当てはまらない軽度精神遅滞患者1例およびその家族と、正常対照として80例(男性42例、女性38例)の解析を行った。疾患群のうち家族歴を有するものは4例であった(兄弟3例、従兄弟1例)。 解析の結果、エクソン5のポリグルタミンストレッチにおける3塩基(CAA)欠損が疾患群に4例と正常対照に4例、15エクソンのイントロン/エクソン境界部分における1塩基(T)挿入が疾患群に3例と正常対照に9例見つかった。この2つの変異の保有率に関して、疾患群と正常対照の間に統計学的有意差は認めなかった。またエクソン5のポリグルタミンストレッチにおける3塩基(CAG)挿入が正常対照にのみ2例存在した。既存のR553H変異(KE family : Lai CS, et al. Nature 413:519・523,2001)は検出されなかった。家族歴のある症例に変異は検出されなかった。変異を有する症例について、さらなる発達検査や言語評価を行い詳細に検討していく予定であるが、現時点では、日本語を第1言語に有する本邦においてFOXP2遺伝子が発達性言語障害患者の言語発達に直接影響を及ぼしている可能性は少ないと考えられる。
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Research Products
(5 results)