2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15650124
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
澤口 俊之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00183830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雨森 賢一 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (70344471)
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Keywords | 大脳半球の左右差 / 脳機能分化 / 光トポグラフィー / 大脳発達過程 / 就学前児童 / 前頭連合野 / ワーキングメモリー / 近赤外線分光法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、大脳左右半球の機能分化の発達過程を、近赤外線分光法による脳機能イメージングによって明らかにすることにある。この目的のため本年度は、発達段階の異なる、さまざまな月齢・年齢層を被験者として、左右脳機能分化の発達過程を調べるのに適した行動課題・刺激提示方法の検討のための予備実験を行った。 被験者は、就学前児(5-6歳)と小学生(9-10歳)とし、インフォームド・コンセントを得てから実験を実施した。本年度は、前頭連合野におけるワーキングメモリと反応抑制の発達過程に焦点を当てた。このため、これらの被験者に対して、視空間性のワーキングメモリ課題、聴覚性のワーキングメモリ課題、反応抑制課題の3種類の課題を実施した。ワーキングメモリ課題としては、ワーキングメモリを評価するのに適したn-back task(視覚刺激提示バージョンと聴覚刺激提示バージョンの2種類)を、反応抑制課題としては、反応抑制を評価するのに適したGo/No-Go課題を採用した。その結果、就学前児に関しては、視空間性のワーキングメモリ課題のパフォーマンスと聴覚性のワーキングメモリのパフォーマンス、さらにはこれらの課題の正答率と反応抑制課題におけるNo-Go試行の正答率との間に有意な相関が見られた。一方で、小学生に関しては、いずれの課題のパフォーマンスの間にも有意な相関は見られなかった。以上の結果から、視空間性のワーキングメモリ、聴覚性のワーキングメモリ、そして反応抑制に関する前頭連合野のニューラルシステムは、幼少期の間に徐々に分化することが示唆された。これらの成果は、左右脳機能分化の発達過程の解明に寄与し得る、重要な成果の一つと考えられる。 来年度は、これらの課題遂行中の被験者の脳活動を、実際に光トポグラフィーにより計測する。これにより、左右脳半球の機能分化の問題に関して、より直接的な証拠を探ってゆく。
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Research Products
(10 results)