2004 Fiscal Year Annual Research Report
肌着素材による皮脂腺活動の違いとアトピー性皮膚炎の関連について
Project/Area Number |
15650152
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
今村 律子 和歌山大学, 教育学部, 助教授 (00176504)
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Keywords | 皮脂腺活動 / 肌着 |
Research Abstract |
同一素材肌着を夜間睡眠時に4週間着用することによって、皮脂腺活動に違いが認められるかについて検討した。供試肌着は、綿およびポリエステルフライスの長袖・長ズボンの肌着とした。研究協力者は、健康な男子大学生17名であり、綿肌着着用者(C群)9名、ポリエステル肌着着用者(PET群)は8名であった。実験実施時期は10〜11月とし、4週間の実験前後に研究協力者の背中肩甲骨上部から皮脂をカップ法によって有機溶媒を用いて採取した。皮脂成分の分析には、薄層クロマトグラフ法を用い、スクワレン(SQ)、トリグリセリド(TG)、ワックスエステル(WE)、遊離脂肪酸(FFA)コレステロールエステル(CE)、コレステロール(Cho)、セラミド(Cer)の7種類に分離するよう展開した。展開後の薄層プレートは、デンシトメーターによって各波長ピークから濃度を算出した。 各皮脂成分のうち皮脂腺由来成分であるWEおよびTGは、PET群では8例中7例においてそれぞれの濃度が4週間経過後に低下したが、C群では9例中5例においてその濃度が上昇またはほぼ変化なしという結果であった。SQに関しては、C群もPET群も4週間経過後に低下する例がほとんどであった。以上のことより、肌着の水分特性の差が皮脂活性に何らかの影響を与えることがわかった。皮脂の分泌はホルモンによって調節を受けることは広く知られている。特にアンドロゲンは、脂腺の成長と皮脂の合成を促進するといわれている。一方、ストレスが増すとアンドロゲンの分泌が減少するともいわれている。疎水性のポリエステル肌着を長期間着用することが何らかのストレスとなり、皮脂腺活動が抑制されたと考えられるが、今後ホルモン測定もふまえて検討する必要がある。
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