2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15651005
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田上 英一郎 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (50133129)
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Keywords | 海洋有機物プール / アミノ酸含有有機物 / 分子量 / 溶存態有機物 / タンパク質 / ペプチド |
Research Abstract |
海洋有機物プール中のアミノ酸含有有機物について、分子レベルの研究を行う事を目的として、三河湾、伊勢湾および相模湾において、観測および試料の採集を行った。相模湾の観測では、船上において限外濾過法による溶存有機物の分子量分画を行った。得られた研究結果の概要は以下のとおりである。 ・溶存有機炭素および全溶存態アミノ酸組成および濃度分析の結果から、1)溶存有機物中において、アミノ酸は比較的分解されやすい成分であること。2)アミノ酸組成においても、沿岸域や表層水と深層水とは、その組成が異なっていることがわかった。 ・全溶存有機物の3次元蛍光特性において、溶存有機物中にはタンパク質様蛍光物質が存在し、タンパク質様蛍光物質は、さらにチロシン様およびトリプトファン様蛍光物質に分類されていた。本研究により、3)チロシン様およびトリプトファン様蛍光物質が、溶存態チロシンおよびトリプトファンに由来すること。4)沿岸域の一部で、トリプトファンに由来する蛍光が認められたものの、その他の海域では表層・深層を問わず、タンパク質様蛍光特性は溶存態チロシンに由来することが明らかになった。 ・分子量分画で得られた画分子量画分のアミノ酸分析および3次元蛍光法の結果から、5)アミノ酸含有溶存有機物の大部分は分子量5,000以下の画分に存在すること。6)これらのアミノ酸は、単に分子量が小さいからではなく、3次元蛍光特性から、その化学形はタンパク質の分解産物であるペプチドである可能性が高いこと。7)分子量5,000以上の画分について、表層水中では、タンパク質及びポリペプチドが存在するが、深層水中では、高分子画分であってもアミノ酸はオリゴペプチドとして存在していること。等が明らかになった。
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Research Products
(3 results)