2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15651006
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉村 和久 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (80112291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井倉 洋二 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (60203270)
松田 博貴 熊本大学, 理学部, 助教授 (80274687)
松岡 史郎 九州大学, 高等教育総合開発研究センター, 助手 (10219404)
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Keywords | 古環境情報抽出 / 陸域縞状炭酸塩 / 鍾乳石 / 石筍 / 年縞 / 顕微分光法 / 絶対年代 / 硫酸塩濃度 |
Research Abstract |
陸域縞状炭酸塩堆積物である鍾乳石とトゥファから古環境情報を抽出する手法の確立を目指し、15年度には以下の研究・調査を行った。 1.秋吉台において、草原と森林地域において石筍を採取した。台湾太魯閣国家公園内での鍾乳石は、1月に予備調査の際に、異なる標高で6試料を採取することができた。 2.平尾台石坂の湧泉において既に採取した130枚を越す縞(すなわち130年間の記録を保有)をもつトゥファついて、重点的に詳細な検討を行うことにした。 3.顕微分光法を用いて数十μmの蛍光バンドの線および面分析法を行う手法を確立した。ガラス板上に試料を接着剤ではりつけ、試料が薄くなるまで表面を削る必要があったが、接着剤としてシアノアクリレート系接着剤が最適であった。また、パソコンによる画像処理法の開発も行い、主観を排除した縞計数法を確立した。 4.顕微分光法を用いて得られた絶対年代のクロスチェックのために、鍵層を見出すことを試みた。長崎原爆と1960年台初頭の大気圏内核実験に起因する^<137>Csの高濃度部分をトゥファ中で見出すことができた。 5.炭酸塩フラクション中の微量成分(とくに硫酸塩)の定量のために、弱酸性陽イオン交換樹脂(Muromac MAC-3)による溶解法を確立し、数十ppmオーダーの硫酸イオンのイオンクロマトグラフィーによる分析が100mgの試料で行えるようになった。 6.鍾乳石およびトゥファ中で蛍光を発する成分のキャラクタリゼーションを蛍光スペクトル分析により行い、これらの蛍光にはいずれもフルボ酸の寄与が大きいことを明らかとした。 7.カナダMcMaster大でU-Th法による絶対年代測定を行った大分県稲積水中鍾乳洞の水没鍾乳石について、再検討を行った。水没の原因はAso-4火砕流による谷の埋没にあると考えられていたが、見積もられた絶対年代は17万年前となり、Aso-1とAso-2の間に成長したことが明らかとなった。鍾乳石中の厚さ1mm程度の粘土層の枚数は鍾乳石の水没の回数と一致するものと考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Yoshimura et al.: "U-series dating of a speleothem from Inazumi Cave, Oita Prefecture, Japan"Journal of Ion Exchange. 14(Suppl.). 225-228 (2003)
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[Publications] 吉村和久: "カルストで探る地球の不思議"化学. 58(7). 20-22 (2003)
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[Publications] 鮎沢 潤, 杉本, 吉村和久: "平尾台千仏洞の洞窟鉱物"洞窟学雑誌. 24(印刷中). (2003)
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[Publications] K.Yoshimura et al.: "Deep source CO_2 in natural waters and its role in extensive tufa deposition in the Huanglong Ravines, Sichuan, China"Chemical Geology. (in press). (2004)
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[Publications] 中村 久, 井倉洋二, 向 陽子, 吉村和久: "秋吉台におけるアカネスゲの分布と土壌pH"秋吉台科学博物館報告. 39(印刷中). (2004)
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[Publications] 井倉洋二, 杉村昭弘, 吉村和久: "秋吉台における化学風化に及ぼす土壌CO_2の役割"秋吉台科学博物館報告. 39(印刷中). (2004)