2005 Fiscal Year Annual Research Report
シンクロトロン放射を用いた放射線DNA損傷の分光学的研究
Project/Area Number |
15651023
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
横谷 明徳 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究主幹 (10354987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤松 憲 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究職 (70360401)
藤井 健太郎 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究職 (00360404)
渡邊 立子 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究副主幹 (10360439)
漆原 あゆみ 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 博士研究員 (80391275)
鹿園 直哉 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (10354961)
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Keywords | シンクロトロン放射 / 放射線DNA損傷 / 電子常磁性共鳴 / ラジカル / 内殻光励起 / DNA鎖切断 / モンテカルロシミュレーション / 円偏光軟X線二色性 |
Research Abstract |
本研究では、放射線の直接効果によるDNAの損傷過程を、DNA中の特定元素を狙い撃ちができるシンクロトロン軟X線ビーム(以下軟X線)を用いることで解明することを目的としている。本年度はDNA塩基の蒸着薄膜試料を作成し、短寿命の塩基ラジカルをESRにより測定した。その結果、薄膜にわずかに水分子が吸着すると塩基ラジカルの収率が減少することを、窒素及び酸素のK吸収端の軟X線を利用することで新たに見出し、損傷過程においてDNAと配位水層との間の電荷交換相互作用が介在することが示された。一方、これまでに軟X線を用いて実験的に得られているDNAの1本鎖切断、2本鎖切断及びFpgなどの塩基除去修復酵素との反応で可視化された酸化的塩基損傷の収率について、モンテカルロシミュレーションによる理論的な解析を進め、特定元素の内殻吸収によりクラスター化した複雑なDNA損傷が生じることを明らかにした。さらに、軟X線と同様に高密度励起・電離を与えるイオンビームについても、研究当初には予定されていなかったが同様な実験を進め高LET放射線によるDNA損傷収率を得ることができた。また細胞レベルでの修復応答を調べるための新しい実験方法として、大腸菌の塩基除去修復酵素欠損株に損傷を含むDNAを適当なベクターで導入し、修復反応をさせた後に再び細胞からDNAを回収して損傷の修復度合いを測定する方法を確立した。この方法により、ふたつの塩基損傷からなるクラスター損傷により、修復欠損株では突然変異率が極めて増大することが明らかになった。さらにDNAとタンパク質がクロスリンクするタイプの損傷を調べる目的で、アミノ酸の薄膜に対する軟X線照射及びHPLC法による照射生成物の分析を行ない、光学異性アミノ酸に関する円偏光軟X線二色性スペクトルの測定に世界で初めて成功するとともに、アミノ酸同士が重合した二量体が生成することを確認した。
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Research Products
(7 results)