2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15651037
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
岩波 茂 北里大学, 医療衛生学部, 助教授 (90095498)
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Keywords | フロンガス / 分解処理 / 極軟X線 / 線量測定 / 放射化学 |
Research Abstract |
フロンガスは地球規模の環境破壊であるオゾンホール生成の主要な原因である。本研究は10keV以下のエネルギーの極軟X線をフロンガスに照射することによるフロンガスの消滅処理の研究である。平成15年度は実験系を作成した。まず透過型のX線管を使用し、これを10kVの定電圧電源で駆動して、最大エネルギー10keVの極軟X線を発生させる。このX線をフロンガスを詰めたステンレス製のチェムバーの中に、薄膜でできた窓を通し照射する。チェムバー内の底には水酸化ナトリウム水溶液の槽を置いて、照射によってフロンガスが分解したときに発生する塩素を塩化ナトリウムの形で回収する回収系を置いている。X線を照射後、水酸化ナトリウム液の塩化ナトリウムを測定すると、塩化ナトリウムが同定される。チェムバーは真空にしてからフロンガスをつめているので、照射前、チェンバー内には塩素ガスは存在せず、照射後にチェムバー内で塩化ナトリウムとして回収された塩素は、フロンガスの分解で発生したものであることを確認した。次にX線の照射時間と塩化ナトリウムの生成量の関係を調べた。塩化ナトリウムの生成量は照射時間に対して一次的に増加する。さらに平成15年度にはX線の照射を定量化するため、極軟X線の線量測定を行った。極軟X線は空気やフロンガスで容易に吸収されるためX線の測定に一般に使われている測定器では測定できず、照射側を薄膜にした特製の平行平板型の電離箱で測定した。測定値からこのX線の線量を求めた。平成16年度にはX線の線量と分解した塩素の生成量の定量的関係を明らかにし、フロンガスの分解のG値等を明らかにする。
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