2004 Fiscal Year Annual Research Report
質量分析法によるリガンド-レセプター相互作用の精密解析
Project/Area Number |
15651096
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
入江 一浩 京都大学, 農学研究科, 助教授 (00168535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高尾 敏文 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (10197048)
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Keywords | プロテインキナーゼC / エレクトロスプレー質量分析計 / 亜鉛フィンガー / ホルボールエステル / 亜鉛放出 |
Research Abstract |
ソフトなイオン化を特徴とするエレクトロスプレー質量分析計(ESI-MS)は、タンパク質と金属イオンあるいは低分子リガンドとの非共有結合による相互作用を解析できる装置として期待されている。最近、発がんプロモーターであるホルボールエステルが、プロテインキナーゼCδ(PKCδ)のC1ドメインの亜鉛フィンガー様配列に結合することによって、PKC C1ドメインから亜鉛が放出され、その亜鉛が各種情報伝達に関与しているという興味深い仮説が提唱された。本研究は、PKC C1ドメインとホルボールエステル[phorbol 12,13-dibutyrate (PDBu)および12-O-tetradecanoylphorbol 13 acetate (TPA)]との結合をESI-MSによって解析し、亜鉛の放出を精密に検証することを目的とした。 PKCδおよびPKCγのC1Bドメインの亜鉛フィンガー様配列を固相法により合成し、亜鉛でフォールディングした後、過剰の亜鉛を透析により取り除き凍結乾燥したものを実験に用いた。本ペプチドは、水に再溶解することによって、透析前のサンプルと同等の高いPDBu結合能を示した。次に、本PKC C1ペプチドをPDBuあるいはTPA、およびホスファチジルセリンとともにインキュベーションし、亜鉛特異的なキレート剤による蛍光強度を測定することによって、放出された亜鉛を定量した。その結果、ポジティブコントロールである過酸化水素の添加では、顕著な蛍光強度の増加が認められたが、ホルボールエステル類(PDBuおよびTPA)による変化は全く検出されなかった。さらに、ESI-MSを用いた解析を行なったところ、PDBuとPKC C1ペプチドとの結合体のピークが観測された。しかしながら、PDBu添加によるPKC C1ペプチドからの亜鉛原子の放出は認められなかった。
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