2004 Fiscal Year Annual Research Report
ハンセン病問題についての「物語的正義」に関する生命倫理学的研究
Project/Area Number |
15652001
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
宮坂 道夫 新潟大学, 医学部, 助教授 (30282619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 豊 富山国際大学, 人文社会学部, 助教授 (70308568)
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Keywords | ハンセン病 / 生命倫理 / 医療倫理 / 正義 / 物語 / ナラティヴ / 近現代史 |
Research Abstract |
ハンセン病問題を「物語的正義」論の観点から再検討することが、本研究の目的である。そのために、(A)資料・文献研究と(B)聞き取り調査を併用しながら、以下の点について理論構築を行った。 1)パターナリズムとしての絶対隔離政策 2)患者団体による患者の権利運動の展開とその社会的受容 3)<語り手>としての患者と<聞き手>としての知識人の乖離と責任の所在 4)<伝え手>としてのマスメディアの責任 5)病者に対する社会的な<無関心>と<偏見>の形成と存続 6)医療についての<正義>に求められるべき特質(<語り手><伝え手><聞き手>それぞれの立場の責任、および公正な意思決定の手続きとはいかなるものか) 本年度の実績としては、理論研究と資料研究の双方で順調な成果を見た。研究代表者の宮坂は、医療倫理学の方法論について体系的に記述した著書『医療倫理学の方法 -原則・手順・ナラティヴ』を刊行し、その中の「歴史」および「患者の権利と公共の福祉」についての項で、ハンセン病問題を倫理的観点から系統的に記述した。わが国の生命倫理学の著作物では、従来ハンセン病問題について言及されたものが極めて少なかったが、今後の生命倫理学においては、この問題を主要な事例として検討すべきことを示唆した。 共同研究者の藤野は、『近現代日本ハンセン病問題資料集成 補巻』(全5巻)を刊行した。これは、『近現代日本ハンセン病問題資料集成 戦前編』(全8巻)および『同 戦後編』(全10巻)に引き続き、ハンセン病問題研究の一次資料の集成であり、この問題を研究する上での重要な基盤となるものと考えられる。
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Research Products
(2 results)