2003 Fiscal Year Annual Research Report
テレビゲームのメディア美術史――インタラクティヴ美術の方法論的探求
Project/Area Number |
15652008
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 幹郎 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (60185874)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 真 国士館大学, 文学部, 助教授 (90221382)
|
Keywords | テレビゲーム / インタラクティブ / 美術史 / メディア |
Research Abstract |
採用するメディウムの差異によって過去、人類は絵画、彫刻、舞台美術、映画美術等、多様な美術史的体系をもちえてきたが、この20年ほどに生起しているコンピュータを主たるメディウムとする視覚装置は、過去千年単位で展開してきた美術史的体系とはまったく異なる展開を見せてきている。時々刻々と変化する外界環境からの視聴覚的情報を整理統御することによって人間の基本的営為が成立している以上、高度のインタラクティヴィティを特徴とする今日テレビゲームに見出されるインタラクティヴ美術は、ゲーム・プレイヤー(鑑賞者)の身体性の関与によって規定、記述されねばならないはずである。本研究の目的は以下の6点に集約できる。すなわち第一に、ゲーム・プレイヤー(鑑賞者)のゲーム時の美的対象への身体的関与とそれに対応するコンピュータ・グラフィクス美術の変化とその変化のゲーム・プレイヤー(鑑賞者)への現在進行形的フィードバックをめぐる記述パラメーターの探究。第二に、テレビゲームにおけるコンピュータ・グラフィクスの美学的特質の特定と記述。第三に、過去20年間のテレビゲームの勃興期から今日にいたるまでのコンピュータ・グラフィクスの美術史的変遷の記述。第四に、過去20年間のテレビゲームをめぐる批評的言説の特質の特定とその変遷の記述。第五に、過去20年間のテレビゲームをめぐる文献資料ならびに映像資料の蒐集と整理ならびに目録作成とその公表。第六に、そうした諸成果を芸術学的方法論に基づいて統合し、人類がいまだ経験しなかった、きたるべき仮想現実万能社会に対応する総合人間学の方法論を確立すること。本研究は現在急務とされる新しい視覚的思考の枠組みを提立し、テレビゲームに代表されるインタラクティヴ視覚装置をめぐる隣接人文社会諸科学(映像学、社会学、文学、心理学、教育学)の学際的議論の基盤となる方法論的視座を提供するものとなる。
|
Research Products
(1 results)