2005 Fiscal Year Annual Research Report
テレビゲームのメディア美術史-インタラクティヴ美術の方法論的探究
Project/Area Number |
15652008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 幹郎 京都大学, 大学院・人間・環境工学研究科, 助教授 (60185874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 真 国士舘大学, 文学部, 助教授 (90221382)
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Keywords | テレビゲーム |
Research Abstract |
今日のテレビゲーム(以下VG)の構造上の最大の特徴は、それが枠をもっているということである。すなわちゲーム・プレイヤー(以下GP)は一定の空間的枠内の外に出ることをプログラミング上禁じられている。GPはゲーム空間内のキャラクター(以下C)を操作するとき、Cがそれ以上向こう側へは行けない可視、不可視を問わない一種の柵に囲まれていることに気づかされる。これは自然の稜線であったり、人工的な文字通りの鉄柵だったり、たんにVGの所与のフレームであったりするのだが、製作者サイドに立てば、無限の空間設定でヴイジュアル世界を構築することに、物語論的、ゲーム理論的意味を見出せないことを意味している。しかしGPサイドに立てば、一定の世界の枠内でゲーム世界が構築され、そこでしか冒険とファンタジーとヴァーチュアル・リアリティ(以下VR)の世界が成立しないというのは、意識的、無意識的とを問わずに、GPに、閉じられた世界でゲームをすることを文字通り馴致するシステムとして働くことになる。GPがどんなにダイナミックなゲーム空間で遊戯していても、それがつねに不可視的ないし可視的に閉じられた世界であることは、そのダイナミックな外見に閉域としての内実をあたえ、GPが基本的に閉じられた世のなかでしか行動を起こせないということをGPに教育するものであろう。今日のVGの以上のような看過しがたい特徴は、VRとインターネットの展開によって、いながらにして世界のどこへでも行ける、触れる、感じられる、見られる、聞けるという擬似世界の増加によって、ますます強化されているように思われる。そしてこの狭隘化は親密な伝統的共同体の構築を意味せずに、ただ空疎な狭隘化しか意味しない。このようなVGで遊び育った子供が大人になったときに、どのような共同体を現実社会のなかに築くことになるのかは今後の社会学的リサーチの成果に委ねたい。
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Research Products
(1 results)