2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15653003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
淺田 正彦 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90192939)
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Keywords | 国際機構 / 条約 / 国際機構設立文書 / 決議 |
Research Abstract |
本年度は、主として、国際機構の設立文書の観点から、国際機構の定義に関する学説を中心に資料を収集し分析を行った。その結果、国際機構の設立の要件ないし要素として、それが条約に基づくものであるとする点は、国の内外を問わず、学説上、広く共有されていることが分かった。 しかし、条約に基づかずに設立された実体が広く「国際機構」として認識されてきたのも事実であり、その点を反映した学説も唱えられていることが判明した。たとえば、ブラウンリーは、「法人格を有する[国際]機構は、通常、条約によって設立されるが、これは必須という訳では全くなく、その淵源は諸国による会議の決議や一様の実行ということも同様にありうる」と述べている。 このような、国際機構の基礎が必ずしも条約である必要はないとする学説の主張内容は多様であり、それらを大きく分類すると以下のようになる。(1)決議を簡略形式の条約とみなすもの(ヴィラリー)、(2)関係国に国際機構を設立する意図があればよく、それが条約である必要はないとするもの(ラマ・モンタルド)、(3)そのような意図の存在さえ特に求めず、自己の名において行動する独立の機関の客観的な存在のみを必要とするもの(セイヤーステッド)などである。 来年度は、以上のような学説の対立が、実際の国際機構における実行に照らして、いかに評価できるかについて検討することにしたい。具体的な検討対象たる国際機構としては、差し当たり、CTBTO準備委員会、OPCW準備委員会、OSCE、ASEANが考えられる。
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