2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15653007
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Research Institution | Hakuoh University |
Principal Investigator |
阿部 信行 白鴎大学, 法学部, 助教授 (90285958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 教夫 白鴎大学, 法学部, 教授 (60285947)
宇佐美 誠 東京工業大学, 社会工学研究科, 助教授 (80232809)
駒村 圭吾 慶応義塾大学, 法学部, 助教授 (00285959)
川本 隆史 東京大学, 教育学研究科, 教授 (40137758)
大石 和彦 白鴎大学, 法学部, 助教授 (40250659)
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Keywords | 主権ないし国家緊急権 / 真実和解委員会 / ピノチェット裁判 / 国際刑事裁判所(ICC)条約 / truth vs Justice / 移行(Transition) / コモンロー的思考様式 / 遡及法問題 |
Research Abstract |
中間年にあたる本年度は主に、申請当初の論点群を昨年度明らになった新論点ともども掘り下げるのに費やしたが、のみならず年度末の研究会で来年度出版企画の準備作業にも着手した。 a)まず資料収集・現地調査の現状を手短に報告しよう。昨年度指摘した地域的偏差を是正すべく、荒木がポーランド・チェコ等の「旧東欧諸国」に出張し、貴重な見聞・面接・文書等の資料を収集した。またアフリカ関連では、南ア共和国で長らくフィールド調査にあたり昨春博士論文を書き上げた京都大の阿部利洋氏から「一次資料」提供等の研究協力をあおげ、アフリカ資料の米国依存性を脱却できる体制が整った。南アの「<真実>和解委員会」が「ジャスティス」とならび本研究会の理論軸の一翼をなすが故に、貴重な是正措置がビルトインされたと評せよう。 b)つぎに研究の進捗状況について。本年度は非合宿方式で計三度の研究会を開いた(延べ三日、18時間強、計6本の報告・討論を)おこなった。究明・追加された論点は以下の通り。(1)真実和解委員会というナショナルな処理方式の国際法的限界性の有無、(2)その「和解」の理念および和解一般の理念の究明(その垂直的多段階構造のうちとくに個人/個人間の微視分析もふくむ)、(3)主権概念のプラグマティック=シュミット的側面たる国家緊急権の実態究明。特に米国とそこですすむ、グアンタナモ基地捕虜処遇(とくに人身保護令状の射程・発布問題)をめぐる連邦裁判諸例と諸判事の実践的推論を比較検討。(4)ピノチェット元チリ元首をめぐる本国・英・スペイン間での駆け引き・国際裁判例・学説動向の検討をとおして、ICC条約規定ないし司法的「正義」理念の可能性と限界の現水準を測定確認。(5)歴史的正義と移行的正義の各概念と相互関係の分析。(6)遡及法問題へのコモンロー的思考様式の可能性を測定。(7)「移行Transition」概念の問題点と可能性を検討した。
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Research Products
(8 results)