2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15653009
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
森川 友義 早稲田大学, 国際教育センター, 教授 (60329159)
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Keywords | 政治能 / マキャベリ知能 / 進化論 / 囚人のジレンマ |
Research Abstract |
「政治脳」の研究は、2003年度より独自に「マキャベリ知能」あるいは「社会脳」の文献を整理してきた。その途上において長年の共同研究者であるオレゴン大学のジョン・オーベル教授と意見交換を行ってきたが、同教授を通じてイリノイ大学のジェイムズ・ハンリー助教授、オーストラリア・メルボルン大学のニック・アレン助教授、更にはオレゴン大学政治学部研究員のジェイソン・ハートウィッグ氏と知己を得ることができ、政治進化論全般に関して意見交換を行った。 彼らとの協議を通じて実際のプログラミングも順調に進み、ターボ・パスカルを用いて2003年夏には完成することができた。その結果を論文形式にまとめたところ、2004年2月号のAmerican Political Science Review誌に掲載されることとなった。APSR誌は世界における最も権威のある政治学会誌であり、そのリード論文(1-16頁)として掲載されたことは、本件萌芽研究が政治学の中で重要な位置を占め、今後の展開次第では更に大きなひとつのパラダイムとして発展が見込めるものであることの証左と考えている。 この論文では、「マキャベリ知能」と「人間の協力性」との関係を明確にしたもので、人間関係においてうそをつく能力、うそを見抜く洞察力、そして人間に対してある程度懐疑的になることの3つが人間の協力性を最も高めるものである、という一見してパラドクシカルな仮説を提出し、コンピュータ・シミュレーションを用いて証明した。更に経済学等でしばしば用いられる「合理性」という言葉に関して進化論から新たな定義づけも行い、「合理性」とは社会科学で使われるものの他に、その時代環境に適合できるかどうかの「合理性」(そしてそれは必ずしも利己的ではない)も長い時間のスパンでは重要であり、従来の「合理性」の定義は普遍的なものでないことを主張した。
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Research Products
(1 results)