2003 Fiscal Year Annual Research Report
おたく文化系コンベンションのカルチュラル・スタディーズ的研究
Project/Area Number |
15653032
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉山 あかし 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 助教授 (60222056)
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Keywords | 文化社会学 / カルチュラル・スタディーズ / 同人誌 / フィギャー / おたく / コミックマーケット / ワンダーフェスティバル / 分化生産 |
Research Abstract |
おたく文化系コンベンションは、現代の若者文化を論じる場合、看過できないものとなっている。最大規模のものの一つ、コミック同人誌即売会「コミックマーケット」では、3日間でのべ40万人以上の参加者が動員され、また、フィギャーなどの造形物の即売会「ワンフェス」(ワンダーフェスティバル)では、例年1日3万人弱の参加者がある。本年度は、この二つの即売会において参与観察を行なった。 「コミックマーケット65」は、東京国際展示場(東京ビッグサイト)全館を使用して、2003年12月28日(日)〜30日(火)に行なわれた。主催者発表によると、参加サークル数3万5千(申込サークル数5万2千)、入場者数28日(日)15万人、29日(月)13万人、30日(火)14万人ということであった。本年度は、研究協力者の大学院生2名と共に、イベント参加者の観察調査とイベント出品物に関する資料収集・調査を行なった。 「ワンダーフェスティバル2004 Winter」は、東京国際展示場(東京ビッグサイト)西1・2ホールとアトリウムを使用して、2004年2月22日(日)に行なわれた。主催者発表によると参加ディーラー(販売者)数約1,250ディーラー(プロモーション企業出展含む)とのことであり、入場者数は「目標3万人」とされていた。入場のための行列が、例年より長かったので、目標は達成されたのではないかと思われる。業者も参加ディーラーに含めた形で運営されるこのイベントでは、企業活動とアマチュア活動の中間領域ともいうべき社会活動について興味深い実態が観察された。 コミック同人誌即売会では女性参加者が多く、造形物即売会では男性参加者が多いといった違いがあるが、両者とも取り上げられる題材に共通したものがあり、一つの連続した文化の異なった現われとして理解することが可能であると考えられる。本研究は参加者の社会的特性について焦点をあてるものであり、本年度はコミックマーケット主催者と協議を行ない、共同主催の質問紙調査プロジェクトを開始した。
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