2004 Fiscal Year Annual Research Report
「三項関係感情」の実態とその発生メカニズムに関する探索的研究
Project/Area Number |
15653043
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
遠藤 利彦 京都大学, 教育学研究科, 助教授 (90242106)
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Keywords | 三項関係感情 / 共感的喜び / 妬み / 共感的苦痛 / シャーデンフロイデ / 質問紙法 |
Research Abstract |
従来の感情研究は、「事象(e)亅と「事象の直接経験者(x)」とのいわば二項関係の性質によって(xの)感情生起の有無および感情の種類が規定されるという側面に主たる関心を払ってきた。しかし、今回特に問題にしようとする感情は、「事象(e)」「事象の直接経験者(x)」、そしてその「事象には直接関係しない第三者(y)」という、いわば三項関係の中で生じるものである。すなわち、eがxに降りかかったことによって生じるyの感情経験に焦点を当てようとするのである。その意味で、こうした感情を仮にここでは(e-x-yからなる)「三項関係感情」と呼んでおくことにしたい。理論的に想定される代表的な「三項関係感情」としては、ポジティヴな事象が他者に生起した際の共感的喜び(empathic joy)あるいは妬み(envy)、およびネガティヴな事象が他者に生じた際の共感的苦痛(empathic distress)あるいはシャーデンフロイデ(schadenfreude:いい気味)を挙げることができるだろう。昨年度は特に共感的喜びと妬みの経験を分け得る要因について実証的検討を行ったが、今年度はそれらの知見との比較対照を図りつつ、特に他者(x)にネガティヴな事象が生起した際の、共感的苦痛とシャーデンフロイデ(いい気味)を分け得る要因およびそれらの細かな質や強度を規定し得る要因について自由記述式質問紙による探索的検討を行った。結果として、他者との立場関係や親しさ、出来事が起こる以前の他者および自己それぞれの幸福状態やそのバランス、さらには他者に起こった出来事が自己にとって持つ意味といった状況的要因の関与が明らかになったが、特に妬みを経験しやすい他者にはシャーデンフロイデを、また共感的喜びを経験しやすい他者には共感的苦痛を経験しやすいといった、感情経験の対称性は認められなかった。
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Research Products
(8 results)