2005 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児の歩行と成長の性差発達に関する比較発達心理学研究
Project/Area Number |
15653047
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
南 徹弘 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (40030043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日野林 俊彦 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (80156611)
今川 真治 広島大学, 教育学研究科, 助教授 (00211756)
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Keywords | 乳幼児 / 歩行発達 / 身体成長 / 成熟 / 性差発達 / 比較発達 |
Research Abstract |
本研究では、沖縄県を中心として奄美/宮崎/広島/大阪の5地域の資料を用いて、乳幼児の行動発達に関与する遺伝的要因と生活要因との関連性、および性差の出現を詳細に検討し多くの要因の中から基本的要因を絞り込むことを意図した。共通する基本的な調査内容は、児の性・生年月日・兄弟姉妹数・出生時/1カ月齢/3カ月齢/6-7カ月齢/12カ月齢検診時の体重/身長/胸囲/頭囲・母乳/混合乳/人工乳の栄養法・首のすわり・寝返り・ずり這い・腹這い・つかまり立ち・つたい歩き・一人立ち・一人歩きの時期,あやすと笑う・人見知り・歯のはえはじめ・1語の発語・言葉の理解・1人で食べる、および両親の生年月日等であった。本研究から、次のことが明らかとなった。男児と女児では出生直後から成長の様式が部位によって異なる可能性と、性の違いによる差異は出生時にはきわめて小さいが、時間の経過とともに次第に顕在化していくこと、歩行開始の早遅と出生時の身体特性、栄養法の違い、および出生後初期段階の成長/成熟との間には関連性がなく、それ以後の運動/移動/立位が早い児ほど歩行開始が早いこと、単独歩行は10カ月齢から次第に増加し12カ月齢の頃に歩行/未歩行がそれぞれ50%に達し、遅くとも18カ月齢までには歩行が完成すること、歩行完成には、児の性の違い、母乳・人工乳・混合乳という栄養法の違いによる差異はみられず、出生順に関しては歩行開始のピークにわずかなずれがみられたことなどであった。このような結果は、歩行が単なる成長の関数ではなく成熟とも相関する可能性を示唆している。さらに、これらの結果は、発達がきわめて複雑な現象であることを示唆し、また人見知り開始時期は移動開始の時期に近く,人見知り終了時期は歩行開始後の時期であったことなどから、身体成長と社会的発達の間になんらかの関連性のあることを示唆するものであった。
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Research Products
(7 results)