2003 Fiscal Year Annual Research Report
戦前期小学校における音楽授業に関する文化社会学的研究
Project/Area Number |
15653067
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西島 央 東京大学, 大学院・教育学研究科, 助手 (00311639)
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Keywords | 学校建築 / 唱歌科 / 唱歌室 / 学校日誌 / 備品原簿 / 儀式 |
Research Abstract |
本研究は、戦前期の小学校の唱歌教育について、学校の建築図面などから読み取れる唱歌室の配置やつくりと、備品原簿や学校日誌等の学校公文書などから読み取れる楽器などの備品・消耗品・教具類を整理し、実際にどのような唱歌の授業が行われており、どのような"音"が奏でられていたのかを明らかにすることを目的とする。平成15年度は、第一に、学校建築や設備・備品に関する教育史研究の状況と当該研究で明らかになっている、学校建築の特徴、設備・備品に関する特徴を把握する作業を行った。第二に、調査対象地域の長野県において、まず、各学校史、県教育委員会保存史料、信濃教育会の各支部の会史などから、明治末期から昭和初期にかけての学校建築、楽器等の設備・備品に関する記述を蒐集した。また、特定の学校の事例として、松本市の開智学校と飯田市内の小学校で学校保存史料、役場保存史料などから、明治末期から昭和初期にかけての学校建築、楽器等の設備・備品に関する記述を蒐集した。以上の調査から明らかになった知見は以下のとおりである。第一に、唱歌科の授業は、明治20年代〜30年代にかけて行われるようになり始めているが、唱歌室が特別教室として独立して設置されるようになるのは、大正時代以降のケースが非常に多かった。それまでどこで授業を行っていたかを明らかにすることが今後の課題である。第二に、ピアノやオルガンが購入/寄贈される時期は、明治中期から大正中期頃まで学校によって幅があり、授業の際に歌唱指導の伴奏がバイオリンなどの楽器からピアノやオルガンにどの時期に移行したかを明らかにすることが今後の課題である。第三に、明治20年代には、唱歌科の授業が行われていなくても、祝祭日等の儀式の際に唱歌が歌われていることがわかった。儀式の際の伴奏や事前の練習をどのように行ったかを明らかにすることが今後の課題である。
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