2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15654030
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
櫻井 博儀 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (70251395)
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Keywords | 不安定核ビーム / 荷電交換反応 / 低エネルギー中性子検出 |
Research Abstract |
今年度は、本研究の次年度(最終年度)にあたり、以下の2点につき詳細な研究を行った。 1.実験シミュレーション 本研究は、世界に先駆けて不安定核ビームによる(p,n)荷電交換反応を行い、不安定核分野における新たな分野開拓を目指している。実験手法としては、(p,n)反応で反跳する中性子を捕まえることがポイントであり、運動学は逆運動学となるため詳細な検討が必要である。昨年度は、この観点から逆運動学的特徴をシミュレーションした。今年度は、最終的に導出したい励起状態と重心系での散乱角の両者につき、必要な分解能とそれを得るためのより具体的かつ総合的な数値計算を行った。 数値計算においては、昨年度および本年度に得られた「2.検出器開発」で得られたプラスチック検出器の中性子検出効率、時間分解能、さらに標的での中性子弾性散乱過程などを取り入れた。まず、(1)逆運動学的特徴から重心系0度にピークをもち、比較的励起エネルギーの低い、アイソバリックアナログ状態(IAS)やガモフテラー状態(GT)の観測は、プラスチックなどの有機シンチレーターをベースにした検出器を用いた場合、極めて困難であることがわかった。これをどう克服するかは、今後の大きな課題として残った。一方、(2)アイソベクトル型巨大双極共鳴(IVGDR)やスピン双極型巨大共鳴などの場合には、0度にピークを持たず、また比較的励起エネルギーが高いため、これらをターゲットとすることにした。 2.低エネルギー中性子用検出器の開発 昨年度に引き続き、プラスチック検出器の性能評価を行った。300x45x20mm3のプラスチックにPMTを2本つけた検出器の場合、300keV程度の中性子に対するイントリンシックな効率と時間分解能は、それぞれ、70%、4ns程度であることがわかった。
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