2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15654061
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 聡 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60281961)
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Keywords | 地球核 / 内核S波速度 / PKJKP波 / 位相重み重合(Phase Weighted Stack) / N乗根重合(Nth Root Stack) |
Research Abstract |
世界中で定常的な広帯域地震観測網が最もよく整備されている日本列島と,世界中で最も深発地震の発生頻度の高いフィジー・トンガ諸島の角距離は60度から80度ある。これまでのPKJKP波探索ではあまり省みられなかった位置関係であるが,周波数依存を考慮したPKJKP波の透過係数とダイレクト・ソリューション法によって,PKJKPが出現しうることを確認した。また,等方的な震源メカニズムを仮定した場合のPKJKP波の振幅を見積もり,モーメントマグニチュードが6.5を越えれば,PKJKP波の振幅が広帯域地震観測の検出限界である50nmを上回ることを確認した。ただし,実際の震源メカニズムはダブルカップルなので下限のマグニチュードはもう少し大きいとみなす必要がある。1観測点の地震記録だけではPKJKPを見つけ出すのは不可能なので,波形重号の手法として位相重み重合(Phase Weighted Stack ; PWS)とN乗根重合(Nth Root Stack ; NRS)を検討し,以下のような特徴を把握した。PWSは見かけ速度の違う地震波を区別するには非常に強力である。この手法は外核最上部構造の研究にも有効であることを確認できた(次頁研究発表参照)。ただし,PWSは目的とする地震波の信号も弱めてしまう。NRSは地震波の分別能力は劣るものの目的とする地震波の振幅をPWSほど弱めない。1996年以降にフィジー・トンガ諸島で発生したマグニチュード6.5以上の深発地震数個を重号解析したが,いまだPKJKP検出には成功していない。これはPKJKP波の到達予想時刻近傍に比較的大振幅のSS波やSSS波などの表面多重反射波が出現したためであり,特異値分解フィルターなどを適用して,この大振幅の波を分離することを検討している。また,次年度では南米の巨大地震の解析や他地域における広帯域地震観測網の記録の解析を計画している。
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Research Products
(1 results)