2003 Fiscal Year Annual Research Report
星の周りにおけるシリケイト粒子形成に関する予察実験
Project/Area Number |
15654072
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永原 裕子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80172550)
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Keywords | 末期星 / 凝縮 / ダスト / フォルステライト / 実験 / 粒子形成 / 結晶成長 / ガス |
Research Abstract |
星の周りにおけるダスト形成を支配する要因を明らかにするため、特にもっともよく観察されているフォルステライトに着目し、結晶質粒子と非晶質粒子の形成条件、結晶成長速度を求めるための実験の遂行をおこなった。まず、本研究のため既存装置の改良をおこない、ヒーター、試料保持部品などを新たに作成し、実験を可能とした。その装置を用いて、蒸発源としてフォルステライト単結晶を用い、温度勾配のもとでガスから固体物質の凝縮をおこなわせた。実験温度は1700℃、真空容器内は常に排気により10(-9)気圧程度に保たれ、実験時間は20分から8時間の範囲でおこなった。実験条件にかかわらず、600℃以下に凝縮物が得られ、走査型電子顕微鏡、電子プローブマイクロアナライザー、後方散乱電子線回折、などの手法を用いた観察・分析の結果、すべての凝縮物が結晶質フォルステライトであることが判明した。凝縮物の形状、粒子サイズは温度の関数として変化し、高温では長方形の単結晶、中温では粒状、低温では繊維状の形をなす。気体分子運動論にもとづき、温度勾配にそうガスの圧力、過飽和度を求め、過飽和度と温度の関数としての凝縮場の物理条件を決定した。凝縮場の条件と結晶形態の関係から、結晶の形を支配する要因としては、温度の効果が過飽和度の効果より大きいことが明らかとなった。この結果を宇宙の条件に適用すると、質量放出星の周囲では繊維状、原始太陽系円盤のような平衡に近い条件で粒子形成の進む場では柱状結晶が形成されると推定された。さらに、結晶質フォルステライトが著しい過飽和条件でも形成されることが明らかとなり、観測によりフォルステライトがしばしば発見されることと調和的である。一方、非晶質物質の形成にはガス組成が宇宙存在度のようにMg/Si〜1という条件が重要であろうと推定された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Tachibana, S., Nagahara, H., Mostefaoui, S., Kita, N.T.: "Correlation between relative ages inferred from 26Al and bulk compositions of ferromagnesian chondrules in least equilibrated ordinary chondrites"Meteoritics and Planetary Science. 38. 939-962 (2003)