2004 Fiscal Year Annual Research Report
放射光X線による高圧下での含水珪酸塩マグマの構造の解明
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15654074
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
井上 徹 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 助教授 (00291500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入舩 徹男 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 教授 (80193704)
山崎 大輔 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 助手 (90346693)
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Keywords | 放射光X線 / 含水珪酸塩メルト / マグマ / 高温高圧 / マグマの構造 / マグマの物性 / 地球内部 |
Research Abstract |
本年度は高エネルギー物理学研究所の大型放射光施設(PF-AR)の高輝度X線を利用して、高圧下での含水珪酸塩メルトの回折パターンを収集した。特に、この実験では含水メルトであるため試料を完全に封入する必要があり、今回は単結晶ダイヤモンドのスリーブとPtの蓋を使うことにより、効率的にX線回折パターンを収集することを試みた。このカプセルでは、X線の通過部分はダイヤモンドだけで、上下のX線に対して不必要な部分にはPtを用いている。結果は良好で、以前のAgPd(貴金属は含水試料の封入材としては非常に優れており、またその中で比較的X線吸収効率の小さいものとして採用)をカプセルとして使った実験と比較して、収集時間は3分の1程度に短縮でき、かつ回折線もカプセルが単結晶ダイヤモンドであるため、非常にきれいなプロファイルが得られるようになった。また、以前のAgPdでは融点が低く、含水珪酸塩メルトの融点に比べて少し高いだけであり、実験に困難を要したが、この点はダイヤモンド及びPtはAgPdより十分融点が高く、実験の成功確率も格段に改善された。ただ、単結晶ダイヤモンドスリーブは高価であり、そのため実験ごとに回収して再利用する必要があるが、かなりの確率で実験後ダイヤモンドにクラックが入っており、この点はセル等をさらに改善する必要がある。 またこれに関係した研究として、MgSiO_3組成の含水メルトの熔融関係をマントル遷移層に相当する13-18GPaの条件下で明らかにし、この条件下でMgSiO_3成分は非調和融解をし、リキダス相としてSiO_2 stishoviteを晶出することを明らかにした。このことはマントル遷移層での融解に水が加われば、非常にMgO成分に富むマグマに分化していくことを示している。 上記の研究以外にもいくつかの研究に携わり、その投稿論文は研究発表欄に示している。
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Research Products
(6 results)