2004 Fiscal Year Annual Research Report
帯電界面の熱力学的不安定性:発見の一般化と膜系への展開
Project/Area Number |
15655008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
垣内 隆 京都大学, 工学研究科, 教授 (20135552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 雅博 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60182648)
西 直哉 京都大学, 工学研究科, 助手 (10372567)
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Keywords | 液液界面 / 不安定性 / 自然乳化 / LUV / 脂質2分子膜 / 界面活性イオン / 常温溶融塩 / イオン液体 |
Research Abstract |
前年度のテーマを引き続き研究すると共に、界面不安定性に与える界面面積の影響と不安定性の顕微鏡による観察をおこなった。界面の電気化学的不安定性は熱力学的な不安定性であるので、安定-不安定の相互変化は擬2次元系の相転移と考えられる。したがって、その発現のダイナミックなプロセスは、過冷却水における核生成・成長と同様に、熱力学的な安定条件とは別に検討されなければならない。核生成の確率は、界面の大きさを制限している縁の効果を別とすれば、界面の面積に比例すると考えられる。この予測を確かめるために、界面の大きさを変えて不安定性の発現を調べた。 ガラスキャピラリーを引き延ばし、直径が数十ないし数ミクロンのその先端に作成した界面では、電流-電圧曲線の形から判別した不安定性の発現は確認されたが、その発現確率は界面の面積の減少と共に小さくなることを見いだした。まず第一に、この微小界面を用いた実験では、大きい界面ではほぼ必然的である正帰還による溶液抵抗の補償を行っていないので、不安定性の発現は溶液抵抗の補償によって生じた人為的な現象ではないことが確認された。これは界面の電気化学的不安定性を一般化する上で非常に重要な知見である。第二に、不安定性の発現確率が界面の面積に依存するという直感とは相反する知見は、不安定性の性質を知る上で重要である。また、不安定性を引き起こすのに必要な界面活性イオンの濃度が増加することを見いだした。 界面の面積が10μm^2以下では、界面活性イオンの濃度を10mMまで上げても不安定性による電流の乱れや増加は見られなかった。界面の縁の効果が10μm^2程度のスケールで現れるとは考えにくいので、見られた対流の抑制は、キャピラリー内での物質輸送の困難さによる対流の抑制によるものかもしれない。このことは、顕微鏡による界面の観察からも裏付けられた。すなわち、不安定電位領域での界面の振動は、必ずしも巨視的な電流-電圧曲線の異常を引き起こさない。 脂質二分子膜に関する研究に関しては、本年度は、膜を横切る電位差の制御と電流測定のための新しい装置を構築することにほぼ専念した。また、ベシクルを安定して形成させる実験条件と単一ベシクルを補足する方法を検討した。 以上の結果は、前年度の結果と併せて、界面の電気化学的不安定性の一般性を明らかにするために、大きく寄与すると考えられ、膜系の不安定性の研究の基礎を形作ることができた。
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Research Products
(7 results)