2004 Fiscal Year Annual Research Report
逆Diels-Alder反応を機軸とした物性転換色素の開発
Project/Area Number |
15655013
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
宇野 英満 愛媛大学, 総合科学研究支援センター, 教授 (20168735)
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Keywords | 逆Diels-Alder反応 / テトラベンゾポルフィリン / チオインジゴ / ビシクロオクタジエン / 粉末結晶構造 / 建染染料 / 有機デバイス |
Research Abstract |
共役系の広がった有機色素化合物は、光電子材料や分子素子などとして大変注目を集めている。本課題の研究では、高度に共役系の広がった有機色素化合物の合成に際し、精製容易な前駆体化合物を合成し、これを最終段階で逆Diels-Alder反応を起こさせることで、これまで精製上の問題から高純度のものが得られなかった色素剤を高純度高効率的に合成する手法を開発した。この方法を利用して、ビシクロオクタジエン縮環ポルフィリンの熱分解により除去されるエチレン部分を修飾することで、熱分解温度の制御を目指した。まずヒドロキシル基を2つ導入しただけでは分解温度にさほど変化はなかったが、これを強アルカリやアルミナと処理することで、室温以下でテトラベンゾポルフィリンに変換することに成功した。これについては、すでに論文発表をおこなっているが、そのほかの置換基を有するものについての熱分解反応を検討したところ、イソプロピリデンジオキシ基を有するものに関しては、分解温度が、約30度上昇することを見出した。また、チオインジゴの逆Diels-Alder反応前駆体の合成を達成し、この前駆体は加熱によりP21/cの結晶形のチオインジゴに定量的に変化することを見出した。市販のチオインジゴはP21/nの結晶系であることから、チオインジゴを可溶化しただけでなく、固体の結晶系についても制御することに成功したことになる。この反応を、TG-XRDで詳細に検討したところ、前駆体の結晶相は、チオインジゴP21/c結晶相に直接なるのではなく、中間に別の結晶相を経ていることが明らかになった。これは、エチレンが一分子だけ脱離した化合物の結晶相であると考えられるが、現在詳細を検討中である。
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Research Products
(6 results)