2003 Fiscal Year Annual Research Report
銅I-II混合原子価金属錯体を用いたスイッチング素子の創製
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15655018
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
大久保 貴志 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (90322677)
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Keywords | 銅I-II混合原子価金属錯体 / スイッチング素子 / 誘電率 / 強誘電性 |
Research Abstract |
本研究では今年度「銅I-II混合原子価金属錯体を用いたスィッチング素子の創成」に向けて主に混合原子価状態を有する新規金属錯体集積体の合成を行って来た。この様な金属錯体は外場によって金属イオン間で電子移動が起こる可能性があり(IVCT)、金属イオン間のエネルギーレベルと配位子のエネルギーレベルを十分考慮して合成を行えば、電子変位型の強誘電性材料が合成できる可能性があるのではないかと考えている。このような観点から銅の混合原子価錯体を合成したところ今年度は多くの化合物を得ることができた。特に、ジチオカルバミン酸二核錯体にアクセプター性分子として有名なTCNQを混ぜ合わせたところ、銅二核錯体2分子に対して、TCNQ1分子を含んだ新規電荷移動錯体を得ることができた。この系においてはTCNQは形式的には中性状態であったが、IRスペクトルを測定したところ、-0.2電子の電荷移動が確認された。また、二次元構造を有する金属錯体[Cu^<II>(dtc)_2Cu^I_4Cl_3][Cu^<II>(dtc)_2]_2(Fe^<III>Cl_4)}_nに関しては強誘電性を発現する事が明らかになった。この錯体は基本的には5核銅ユニットをCu^<II>(dtc)_2が架橋した二次元シート構造をとっている。この、5核銅ユニットにおいては中心ハロゲンイオンが電場に応答し移動することによって強誘電性が発現することが確かめられた。非誘電率の温度依存性を測定した所、200K以上で非誘電率の増大が観測された。更に高温になると誘電率は極端に増大し始めるが、このときは化合物の分解を伴っていることが明らかになった。また、強誘電テスタを利用して分極Pの電圧E依存性を測定した所、室温付近で明らかなヒステリシスが観測できた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.-S.Kim, T.Okubo, T.Mitani: "Synthesis, Polymorphs and Luminescent Properties of Oligomeric Zn3ppo6:[ppo=2-(2-hydroxy phenyl)-5-phenyl-l,3-oxazole]"Chem.Mater.. 15. 4949-4955 (2003)
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[Publications] S.Takaishi, Y.Tobu, H.Kitagawa, A.Goto, T.Shimizu, T.Okubo, T.Mitani, T.Ikeda: "The NQR Observation of Spin-Peierls Transition in an Antiferromangetic MX-Chain Complex [NiBr(chxn)_2]Br_2"J.Am.Chem.Soc.. 126. 1614-1615 (2004)