2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15655030
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
青木 昌雄 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (20332637)
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Keywords | 二酸化炭素 / 二酸化炭素固定化反応 / ラジカル |
Research Abstract |
二酸化炭素を効率よく固定化し炭素資源として利用する真に有効な方法を開発することは、地球温暖化の問題とも関連し、現代社会が直面する緊急かつ重要な研究課題である。社会的要求に加えて、炭素の最終酸化状態であり熱力学的に非常に安定な二酸化炭素を化学反応に組み込むための二酸化炭素活性化方法の開発は、純粋科学の観点からも非常に興味深い研究課題である。これまでにもこの問題を解決するために多面的なアプローチが精力的になされており成果が上げられているにもかかわらず、ラジカル反応を用いて二酸化炭素を固定化した例はこれまでに知られていない。 本年度はラジカルが二酸化炭素へ付加する際の平衡を、適切な分子設計によりカルボキシラジカルを選択的に捕捉できるようにすることで制御する方法論について研究を行った。具体的には、ラジカルと二酸化炭素から平衡的に生成するカルボキシラジカル(ラジカル付加体)を速やかに分子内で捕捉できる分子として2-イオドトルエン誘導体を設計・合成した。この基質の設計に際しては、カルボキシラジカルの捕捉を有利にするための剛直な構造を取りやすいこと、および逆反応である脱二酸化炭素の速度がアリール基はアルキル基に比べて一万倍も遅いことをふまえたものであり、フェニルラジカルによる二酸化炭素固定化および生じるオキシラジカルの特徴的反応である5位水素引き抜き反応を利用する、アトムトランスファー型ラジカル連鎖反応の実現を目指して検討を行った。ラジカルの発生方法として、紫外-可視光の照射、芳香族系の増感剤の使用、トリアルキルホウ素と酸素の組み合わせによるラジカル発生法について種々検討したが、ラジカル反応自体の進行が遅くまた二酸化炭素の固定化には至らなかった。
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