2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15655030
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
青木 昌雄 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (20332637)
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Keywords | 二酸化炭素 / 二酸化炭素固定化反応 / ラジカル |
Research Abstract |
二酸化炭素を効率よく固定化し炭素資源として利用する真に有効な方法を開発することは、京都議定書が発効されるに至った地球温暖化の問題とも関連し、現代社会が直面する緊急かつ重要な研究課題である。またこの問題は化学の担う社会貢献の側面だけではなく、炭素の最終酸化状態であり化学的に極めて安定な二酸化炭素を化学反応に組み込むための方法論・活性化方法の開発は、純粋科学の観点からも非常に興味深い研究課題である。これまでにもこの問題に対して多面的なアプローチが精力的になされており成果が上げられているにもかかわらず、ラジカル反応を用いて二酸化炭素を有効に固定化した例はこれまでに知られていない。 本年度はラジカルが二酸化炭素へ付加する際の平衡を、適切な分子設計によりカルボキシラジカルを選択的に捕捉できるようにすることで制御する方法論について平成15年度に引き続き検討した。具体的には、目的反応の逆反応である脱炭酸が相対的に遅いことが知られている芳香環上にラジカル発生部位としてハロゲン原子を、カルボキシラジカル捕捉部位として、各種ベンジル部位を有する化合物を設計・合成した。また生成したアリールラジカル種の求核反応性向上を期待した修飾も行った。これらの基質に対して、アトムトランファーを利用したラジカル連鎖反応のラジカル開始法として、(1)光照射によるハロゲン-アリール炭素結合のホモ開裂、(2)加熱条件下でのラジカル開始剤AIBNの利用、(3)低温条件下で発生できるラジカル開始剤として、トリアルキルホウ素化合物と痕跡量の酸素の利用、(4)二酸化炭素のルイス酸的な活性化を期待してインジウム金属ラジカル種の系中発生法、について溶媒・温度・圧力など反応条件を徹底的に検討したが、現在の所、ラジカル種が二酸化炭素に求核攻撃した生成物を得るには至っていない。今後は、無溶媒反応系やカルコゲンの導入を検討していく予定である。
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Research Products
(1 results)