2004 Fiscal Year Annual Research Report
コンビナトリアル化学手法による炭酸ガス固定化材料の開発と反応性高分子への展開
Project/Area Number |
15655037
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
遠藤 剛 山形大学, 工学部, 教授 (40016738)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 大介 山形大学, 工学部, 研究員 (30375323)
中村 透 (株)山本製作所, 研究員
|
Keywords | 二酸化炭素 / アミジン / 固定化 / 有効利用 / キナゾリン |
Research Abstract |
二酸化炭素の化学的な固定化と、有効利用は環境、資源問題につながる重要な研究課題である。我々はこれまでにアミジン類であるN-メチルテトラヒドロピリミジン(MTHP)が二酸化炭素を可逆的に固定化できることを見いだしている。さらにアミジン構造を有するポリスチレン誘導体を合成し、これも可逆的に二酸化炭素を固定化し、対応する双性イオンを与えることを見いだしている。この双性イオンの二酸化炭素部位は通常の二酸化炭素よりも活性化されていることから高い反応性が期待できる。そこで本年度では、アミジン類と二酸化炭素の反応により生成する双性イオンの高い反応性を利用した有用物質の合成について検討した。 2-アミノベンゾニトリルを1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン(DBU)存在下、二酸化炭素と反応させると医薬品合成の中間体であるキナゾリン誘導体が得られることが報告されている。^<1)>しかしながら定量的に生成物を得るには、過剰量のDBUまたは30気圧程度の高圧が必要とされてきた。そこで我々は、工業的に使いやすく経済的なプロセスを目指して、触媒量のMTHP(2-アミノベンゾニトリルに対して0.3当量)を用いて常圧下での2-アミノベンゾニトリルとCO_2の反応を詳細に検討した結果、ジメチルスルフォキシド中100℃で反応を行うことにより、ほぼ定量的にキナゾリン誘導体が得られることを見いだした。 この反応を高分子反応に応用することができれば新しい高分子試薬の創製が可能であることから、アミジン構造を持つポリマーを用いて2-アミノベンゾニトリルとCO_2の反応を検討した。その結果、2-アミノベンゾニトリルに対して等量(繰り返し単位検算)のポリマーを必要とするものの反応は効率良く進行し、ほぼ定量的にキナゾリン誘導体が得られることが分かった。さらに、一度反応に用いたポリマーを回収し再度反応を行ったところ、ほぼ同様の収率で生成物が得られたことから、アミジン構造を有するポリマーはリサイクル可能な高分子試薬として利用可能であることが示唆された。以上のように本研究では、二酸化炭素を固定化し、有用物質へと変換するCO_2の循環システムの構築に成功した。 参考文献) 1)Mizuno, T.;Ishino, Y. Tetrahedron 2000,41,1051.
|
Research Products
(10 results)