2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15655040
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 俊作 京都大学, 工学系研究科, 教授 (80150324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 智行 京都大学, 工学系研究科, 助手 (14750694)
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Keywords | ヘリックスペプチド / 自己組織化膜 / ヘリックスバンドル / 分子組織化 |
Research Abstract |
側鎖にアミノ基を有するヘリックスペプチドとして、Lys(Z)と2-アミノイソ酪酸の交互配列を有する8量体(BKZ8ECz)および16量体(BKZ16ECz)ペプチドを液相法により合成した。また、ペプチドの末端には蛍光プローブとしてエチルカルバゾール基を導入した。金基板上への自己組織化膜を作製する前段階として、脂質膜中での組織化を解析した。ヘリックスペプチドとジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)の水分散液を超音波処理することで、均質な分散状態が得られた。この分散液の吸収スペクトルには、ECz基由来の吸収ピークが観察され、いずれのペプチドもDMPCに取り込まれていることがわかった。動的光散乱測定より、粒径100-200nmのリポソームが形成されていることがわかった。8量体ペプチドが分配したリボソームの粒径は大きく、リポソームが凝集していると考えられる。CDスペクトル測定から、BKZ8ECzはリボソーム中で特定の二次構造をとうていないことから、数分子で凝集体を形成してリボソーム表面に分配され、このためリボソームが凝集しやすくなったと考えられる。一方、BKZ16ECzはαヘリックス構造をとり、ヘリックス同士が強く会合していることが明らかになった。このヘリックスバンドルがどのような配向で膜に分配されているかを明らかにするために、水溶性アクリルアミドを用いたECz基の蛍光消光実験を行った。過剰の消光剤を加えても蛍光は半分程度しか消光されなかったことから、およそ半数のECz基が外水相に近い位置に存在していると考えられる。これらの結果から、16量体ペプチドについては、数分子からなるヘリックスバンドルが膜貫通型の配向をとって膜に分配されていることが示唆された。金基板上での分子組織化においても8量体より長い鎖長が必要であると考えられる。
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