2004 Fiscal Year Annual Research Report
ガン細胞志向性ドラッグキャリヤーによるC_<60>のガン細胞への運搬とそのDNA光切断
Project/Area Number |
15655049
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
池田 篤志 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (90274505)
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Keywords | DNA光切断 / カリックスアレーン / フラーレン / ポルフィリン / ATP |
Research Abstract |
現在までに、本申請者は水溶性のカチオン性カリックスアレーン-C_<60>錯体がプラスミドDNAを高効率で光切断できることを明らかにしている。従って、この錯体はガン治療薬として利用できるものと期待される。しかし、カチオン性を有するため、毒性が高く、実際にin vivoでの使用は難しいものと予測される。そこで、より毒性が低く、しかもDNAと相互作用可能な糖鎖をもつ水溶性カリックスアレーンを用いることにした。昨年度は、その糖修飾カリックスアレーンの合成に成功した。さらに、このカリックスアレーンを用いてC_<60>の固-液抽出を行った。C_<60>はカリックスアレーンの濃度の約45%まで抽出でき、このときカリックスアレーン2個がC_<60>1個を挟み込んだ構造となっていることが予測された。本年度は、このカリックスアレーン・C_<60>錯体を用いてDNAの光切断能を検証した。この錯体とDNAを混在させ、可視光を2時間照射したところ、約30%のDNAが光切断されることが明らかとなった。同じ照射時間、C_<60>の濃度を揃えて、水溶性高分子であるポリビニルピロリドン、ならびに水溶性大環状化合物であるシクロデキストリンにより水溶化したC_<60>を用いて比較実験を行なったところ、光切断能はそれぞれ17%と3%であった。このように糖修飾カリックスアレーン・C_<60>錯体で高いDNA光切断能を有したのは、糖修飾カリックスアレーンがC_<60>を効率よくDNA近傍に運ぶ役割、つまりドラッグキャリヤーとして働いたためであると考えられる。現在のところ、この原因は糖とDNAのリン酸部位間での相互作用が働いたためと予測される。
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Research Products
(1 results)