2003 Fiscal Year Annual Research Report
混合ポリマーブラシによる表面ナノ構造制御とその利用
Project/Area Number |
15655082
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻井 敬亘 京都大学, 化学研究所, 助教授 (00217308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 淳 京都大学, 化学研究所, 助手 (20335219)
大野 工司 京都大学, 化学研究所, 助手 (00335217)
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Keywords | 表面グラフト重合 / リビングラジカル重合 / ポリマーブラシ / 相分離 / 表面モルホロジー |
Research Abstract |
材料の表面モルホロジーは、表面摩擦、ぬれ性、接着性、生体適合性などの表面特性と深く関わっており、その制御、特にナノスケールでの制御は、新しい機能性表面の設計において極めて重要である。本研究では、構造因子(鎖長、鎖長分布、密度、分率など)の制御された非相溶異種高分子を2段階精密グラフト重合法(研究計画・方法の項目を参照)により材料表面にランダムにグラフト(混合ポリマーブラシ)し、ナノスケール空間での相分離を利用した表面モルホロジーの制御を目指す。 本年度は、2種類のLRP法、すなわち、原子移動ラジカル重合法(ATRP)およびニトロキシル法(NMP)を組み合わせた2段階グラフト重合により、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)/ポリスチレン(PS)混合ブラシの合成と表面構造の解明に取り組んだ。グラフト密度の制御のために、対応する2種類の開始基を不活性シランカップリング(HTS)で希釈してシリコン基板に固定化した後、第一段階として、NMPの開始反応がほぼ起こらない低温(60℃)で、メタクリル酸メチル(MMA)のATRPを、次いで、温度を上げ(120℃)スチレン(S)のNMPを行った。本手法により、構造因子(分子量、グラフト密度、成分ポリマー比率など)の異なる一連のPMMA/PS混合ブラシの合成に成功した。 得られた基板を種々の溶媒、シクロヘキサン(PSの良溶媒)、アセトン(PMMAの良溶媒)、ジクロロメタン(両者の良溶媒)で処理した後、原子間力顕微鏡(AFM)により表面モルホロジーを観察した。表面相分離のために数十nmオーダーの特異な表面モルホロジーが形成され、さらに、そのドメイン形態が組成や処理溶媒により大きく変化することを明らかにした。この結果は、種々の溶媒処理によりナノ表面モルホロジーの再編成が可能なインテリジェント表面としての可能性を示唆するものである。
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