2003 Fiscal Year Annual Research Report
サイクル域光パルスによる巨大加速度系の創出と吸収領域新規異常光学現象の探索
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15656015
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森田 隆二 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30222350)
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Keywords | サイクル域光パルス / 超広帯域コヒーレント光波 / 自己位相変調 / フィードバック位相補償 / スペクトル干渉 / フォトニック結晶ファイバー / テーパーファイバー / 選択脱離 |
Research Abstract |
本年度は、サイクル域光パルスに関する以下の成果を得た。 1.自己位相変調効果を用いて、1オクターブを超える超広帯域スペクトル(495-1090nm)を有する光パルスを発生し、これをフィードバック位相補償することにより、3.4fs,1.56サイクルの光パルスの発生に成功した。これは、可視・赤外領域における世界最短パルスである。このパルスを評価する変形スペクトル干渉位相電場再生システム、およびフィードバック位相補償システムも、本研究者らにより独自に開発されたものである。 2.フォトニック結晶ファイバー、テーパーファイバーといった微細構造ファイバー中でのサイクル域光パルスの非線形伝播ならびにそれにともなう超広帯域スペクトル発生実験、および従来の緩変動包絡波近似を超えた理論的研究を行い、スペクトル広がりにおけるギャップの形成は、自己急峻化が引き金となり、その後、パルス内4光波混合が重要な役割を果たすことを明らかにした。 3.微細構造ファイバーであるテーパーファイバー中でのフェムト秒光パルスの伝播にともなうスペクトル超広帯域化と変形スペクトル干渉位相電場再生システム、フィードバック位相補償システムを組み合わせることにより、テーパーファイバーからでは最短の16fsのパルスを得ることに成功している。この手法は、高繰り返しのサイクル域パルス発生に有効であると考えられる。 4.Si(111)7×7表面にフェムト秒パルス対を照射し、このパルス対の時間間隔を変化させることにより、Si表面アドアトムの選択脱離に成功した。とくに、パルス対間隔を125fsに調整することにより、センターアドアトムとコーナーアドアトムの脱離効率比は22となり、センターアドアトムの選択的脱離が観測された。この現象における脱離メカニズムには、表面原子の8THz(=1/125fs)固有振動が関係した電子・格子相互作用の寄与が示唆される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Yamashita et al.: "Pulse compression of white-light continuum generated by induced phase modulation in a conventional glass fiber"J.Opt.Soc.Am.B. 21・2. 458-462 (2004)
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[Publications] K.Yamane et al.: "Optical pulse compression to 3.4 fs in the monocycle region by feedback phase compensation"Opt.Lett.. 28・22. 2258-2260 (2003)
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[Publications] D.N.Futaba, R.Morita et al.: "Site-selective silicon adatom desorption using femtosecond laser pulse pairs and scanning tunneling microscopy"Appl.Phys.Lett.. 83・12. 2333-2335 (2003)
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[Publications] Y.Toda et al.: "Two-photon absorption and multiphoton-induced photoluminescence of bulk GaN excited below the middle of the band gap"Appl.Phys.Lett.. 82・26. 4714-4716 (2003)
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[Publications] M.Adachi et al.: "Spectral-phase characterization and adapted compensation of strongly chirped pulses from a tapered fiber"Jpn.J.Appl.Phys.. 42・1. L24-L26 (2003)
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[Publications] X.Fang et al.: "Nonlinear propagation of a-few-optical-cycle pulses in a photonic crystal fiber - experimental and theoretical studies beyond the slowly-varying-envelope approximation -"IEEE Photonics Technol.Lett.. 15・2. 233-235 (2003)